上写真=同点ゴールを決められた日本。後半は完全に相手にペースを握られた(写真◎Getty Images)
神様からの贈り物
先制したのは日本だった。7分の左CKの場面。神田泰斗(大宮U18)が蹴ったボールの落ち際を藤田明日翔(川崎F U-18)が左足でとらえてネットを揺すった。
前半はそのまま日本が1−0とリードして終えたが、51分にCKを与えると(日本の右CK)、ミリナーにヘッドを決められ同点に追いつかれてしまう。71分にはビルドアップでミスが出て、樺山文代志(興國高)がアナスタージオに簡単にボールを奪われて、そのままゴールを奪われてしまった。
さらに74分にも同じCKからボックス内のこぼれ球をガルボウスキに蹴り込まれて3失点。残り15分あまりで2点を追いかける状況に追い込まれた。
厳しい状況の中、86分に今井宏亮(東京Vユース)が右サイドを突破し、クロスに谷大地(鳥栖U-18)が合わせて1点を返したが、一歩及ばず。2−3で逆転負けを喫してしまった。ミス絡みで失点し、相手を勢いづかせたのが痛かった。
しかし、他会場で行われていたベトナム対UAEが1−1で引き分けたため、グループBは1勝1分け1敗の勝ち点4で3チームが並ぶ状況となり、当該成績によって日本の首位通過と、11月にカタールで開催されるU−17ワールドカップ出場が決定した。
「神様からの贈り物だと思うので、もらったものをしっかり、優勝できるように準備したい」
浅田大翔(横浜FM)キャプテンが言うように、オーストラリアに敗れたことで一時は敗退も覚悟した。試合終了の笛が鳴ったあと、しばらくの間、日本の選手たちは不安な表情を見せていたが、『他力』ながら、世界への扉が開き、アジアの頂点へ向かう道が続くことになった。次戦、準々決勝の相手は今大会のホスト国サウジアラビア。厳しい試合になることは必至だが、W杯出場権獲得という重圧のため、本来の力をオーストラリア戦で全くと言っていいほど出せなかった若き侍たちの躍動に期待したい。