Uー17日本代表は2日、タイで開催中の『AFC U17アジアカップ2023』決勝に臨み、韓国と対戦した。史上初の大会連覇、史上最多4度目の優勝がかかる日本は前半終了間際に名和田我空(神村学園高)が直接FKを決め、後半にも鮮やかな連係から名和田が追加点。試合終了間際に道脇豊(ロアッソ熊本)がダメ押しゴールを決めて3−0で快勝。決勝初の日韓戦を制し、アジアの頂点に立った。

上写真=史上最多4度目の優勝を成し遂げたU−17日本代表(写真◎Getty Images)

積極的かつ冷静なプレーが光った日本

 水を含んだピッチは所々でボールが走らず、パスがショートしたり、ドリブルが引っかかったりと、決勝戦はプレーするには難しい環境の中での戦いになった。日本も韓国もそんなピッチ状態を踏まえ、試合開始時から慎重さを持ちながらプレーしていた。ただ、互いにボール奪取後は積極的に縦を突き、相手ゴールを目指した。

 日本の最初のチャンスは24分。右サイドで相手の裏に飛び出した佐藤がパスを受けてゴールエリア脇に入り込んだ名和田へ。名和田は振り向きざまに浮き球のクロスを供給。ゴール中央で飛び込んだ道脇がヘディングで狙ったが、シュートは惜しくもGKの正面をついた。

 決勝に至るまでの5試合全てで開始15分までにネットを揺らしてきた日本だが、この試合では日本のビルドアップに素早く対応する韓国の集中した守備の前になかなかゴールをこじ開けることができなかった。

 しかし、日本の攻撃陣は焦らずに幅広い動きとコンビネーションでゴールへのルートを探っていった。その姿勢が前半終了間際に実を結ぶ。左サイドバックの小杉から送られた斜めのボールを前線で道脇が収めたが、その際にアフターチャージを働いた相手CBのコ・ジョンヒョンが2枚目のイエローカードを受けて退場に。数的優位な状況になった日本は、このプレーで得た直接FKの機会をものにする。名和田が右足で蹴ったボールは鮮やかな弧を描き、相手GKホン・ソンミンの手を弾いてゴールに吸い込まれた。

 日本の1−0で迎えた後半、相手はロングボールを使いながら攻めてきたが、前から制限をかけつつボールの落下点にも素早くアプローチしてボールを回収していった。50分には左サイドを攻略し、クロスをボックス中央で収めた道脇が反転シュート。得点はならなかったが、日本は数的優位を攻守両面で生かし、試合の主導権を握り続けた。

 2点目を奪って試合を決めたい日本は、相手の守備陣形を広げるパス回しやコンビネーションで韓国をジリジリと追い込むと、66分に鮮やかな連係からネットを揺らしてみせる。ピッチ中央でボールを受けた佐藤がリズムを変える鋭い縦パスを密集の中の望月に送ると、望月は狭いエリアでターンしながらトラップ。間髪入れずに前方へパスを送ると、走り込んだ名和田がGKの位置を見ながら冷静に蹴り込んだ。

 その後、韓国も圧力をかけてきたが日本は落ち着いたプレーで時計の針を進め、試合終了間際には道脇が技ありのダメ押しゴールをスコア。3−0で試合をクローズさせた。コロナ影響で2020年大会は中止となったが、日本は2018年大会に続く優勝を成し遂げ、大会初の連覇を達成するとともに、史上最多となる4度目の優勝を達成した。

 決勝を前に森山佳郎監督は「U-17ワールドカップで体感するようなレベルのゲームを先に味わえると思っている」と話し、「優勝して世界へ行こう」と選手と誓い合っていた。まさに有言実行。日本はアジア王者の名に相応しい戦いをピッチで表現し、胸を張って世界大会へ向かうことになった。

▼出場メンバー
・日本:GK後藤亘、DF柴田翔太郎、本多康太郎、土屋櫂大(87分:永野修都)、小杉啓太、MF佐藤龍之介、矢田龍之介(61分:望月耕平)、中島洋太朗(79分:山本丈偉)、吉永夢希(88分:川村楽人)、FW道脇豊、名和田我空


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