Uー17日本代表は7月2日(午後9時)、タイで開催中の『AFC U17アジアカップ2023』決勝戦で韓国代表と対戦する。同大会の決勝戦で日韓戦が実現するのは史上初めてのこと。チームを率いる森山佳郎監督、選手たちはどんな思いで「アジア頂上決戦」に臨もうとしているのか。現地取材を続ける川端暁彦氏がリポートする。

上写真=準決勝でイランを下して決勝に進出した日本。2日の決勝では韓国と対戦する(写真◎AFC)

昨年6月の対戦では日本が3−0

 AFC U17アジアカップ決勝において、日韓両国が対峙することとなった。アジアサッカーの歴史において因縁浅からぬ間柄、しかも過去最多3度の優勝を誇る日本と同2度の韓国の対戦ながら、少々意外なことにこの大会の決勝で対戦するのは今回が初めてのことである。

 森山佳郎監督は前々回大会(2016年)からこの年代のチームを指揮しているが、実は決勝戦に限らず、韓国とAFCやFIFAの公式戦で監督として対峙したことは一度もない。優勝した前回大会も「決勝で日韓戦か!?」と思われたが、韓国が準決勝でタジキスタンにPK戦の末に不覚を取ったために対戦は実現せず。今回ようやく初めての対戦となった。

 一方、この世代の選手たちがぶつかるのは今回が初めてではない。直近の対戦は昨年6月に日本の仙台市で行われたU-16インターナショナルドリームカップ。大会初戦の対戦は、MF矢田龍之介(清水ユース)、杉浦駿吾(名古屋U-18)らの得点により3-0で日本の快勝という結果に終わっている。

 もっとも、スコアほどの差はなかったと日本側は認識しており、実際に決定力の差で大差になったとはいえ、シュート数は7対7と同数。当時から日韓ともに半数ほどのメンバーが入れ替わっていること、そもそも日本ホームでの試合だったということもあり、その再現を簡単にできると思っている日本側の関係者はいない。むしろ、韓国の強さを警戒する声が目立つ。

 森山佳郎監督はアジアの最も身近なライバルについて、こう語る。

「韓国はこれまでの相手とはちょっとレベルが違う。このアジアで当たった相手は個人の特長を押し出してロングボール主体に戦ってくるチームが多かったが、韓国はコンパクトな布陣で攻守に連動したサッカーをしてくる。U-17ワールドカップで体感するようなレベルのゲームを先に味わえると思っている」

 一方、対する韓国のビョン・ソンファン監督は「日本は非常に良いチームだと思っている」としつつ、こう語った。

「日本と決勝で対戦することをずっとイメージしてきました。私たちにはビッグモチベーションがある。決勝のキックオフを心待ちにしている」

 酷暑のタイを舞台に6試合目となるだけに肉体的な消耗は隠せない両国だが、「ここまで来て負けたくはない。勝ってみんなで喜び合いたい」とMF望月耕平(横浜FMユース)が語ったように、ファイナルとなれば違う力を出せるもの。今回は同じ中2日での対戦ということもあり、指揮官も「コンディションはイーブンだと思っている。関係ない」と強調する。

 日韓戦と言えば、やはり歴史的な背景もあっての激しいバトルの印象が強い。ただ、近年の日韓戦ではかつて色濃くあった『戦い』の雰囲気は薄れており、感情的な試合になることは少なくなった。

 森山監督もそうした変化は感じているそうで、「日本の若い選手たちに『相手が韓国だから』ということでの特別な感情はなくなってると思う」としつつ、同時に「韓国の若い世代も昔とは違っているとは思う」という。


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