15日からタイで『AFC U17アジアカップ2023』が開幕する。日本の初戦は17日、昨年、0−3で敗れた相手ウズベキスタンだ。日本は初戦にきっちり勝ち切って、中2日で行われる大会を勝ち進み、Uー17W杯の出場権の獲得と、前回大会に引き続きアジア王者の称号を目指す。ここでは今大会のポイントを整理する。

上写真=Uー17日本代表はW杯出場権の獲得と優勝を目指す(写真◎川端暁彦)

まずは準々決勝を見据えて大会に入る

 12日、AFC U17アジアカップに臨むU-17日本代表が国内での最終調整を終え、決戦の地・タイへと旅立った。狙うは世界切符の獲得と、17歳以下アジア王者の座である。

 7日から千葉県内で行われた合宿に際し、森山佳郎監督は茶目っ気混じりにこう言った。

「もっともっと雨降ってくんないかなあ」

 ちょうどタイは雨季へと突入していく時期である。激しいスコールの中での「泥んこマッチ」(森山監督)も想定される上に、芝生の状態は東南アジア仕様。「綺麗なサッカーはきっとさせてもらえない」中で勝ち残り、世界大会への切符をもぎ取る必要がある。

 最後の総仕上げとなるこの合宿では8日に鹿島アントラーズユースとトレーニング要素の濃い特殊な練習試合をこなし、11日には5学年上の筑波大学との練習試合も実施。どちらも「必ず来るであろう苦しい戦況」(森山監督)を意図的に作り出し、チームとしての引き出しを増やすことを主な目的として行った。

 鹿島ユースとの試合は特殊なゲーム形式で実施。「本当にありがたいことに(鹿島ユースの)柳沢敦監督に無理を聞いていただいて」(森山監督)15分ごとに試合を区切り、さらにその15分の半分ごとにメンバーを入れ替える特殊なゲーム形式。鹿島側の状況を「5バックでドン引き」、「果敢なハイプレス」、「とにかくロングボールで高さ勝負」といった“アジアあるある”な形に固定し、それに対応する戦術的な引き出しを用意。約束事を共有しながら、システムやビルドアップの形などを含めてトレーニングを施した。

 それを踏まえて臨んだ11日の筑波大との練習試合はフィジカル的に優位に立つ筑波大に対し、押し込まれる試合展開を体感させつつ、劣勢の状況下になっても粘り強く戦って隙を突く流れを体感。「本当にありがたかった」と森山監督が感謝したように、小井土正亮監督やコーチ陣が選手をしっかりモチベートして臨んできたため、年齢差のある練習試合にありがちな緩んだ雰囲気もなく、PK戦まで含めて実戦でもありそうな試合展開を体感できた。

 結果はAチームのサブメンバーと対戦した1試合目がFW名和田我空(神村学園高)の技巧的シュートによるゴールと、クロスに合わせたFW道脇豊(ロアッソ熊本)の得点で2-1と勝利。後半は大学生の反攻に圧倒されるような時間帯が続いたが、「落ち着いて対応できた」と語ったGK後藤亘(FC東京U-18)の好守もあっての快勝だった。

 2試合目もタフなプレーを見せる筑波大に対して劣勢になる展開もありながらも勝利。トレーニングパートナーとして参加しているFW前田勘太朗(横浜FCユース)の得点で先行すると、後半開始早々に追い付かれながらもMF杉浦駿吾(名古屋U-18)の「練習通り!」(森山監督)の得点で勝ち越し。壮行試合を締めくくった。

 鹿島ユース戦を含めて練習試合では共に結果にかかわらずPK戦まで実施。カタールW杯以来、「日本代表が世界で勝つための課題」(反町康治技術委員長)となっているPK戦にも備えた。「高校サッカーの選手はチームでの練習から蹴り込んでいるけど、ユースの選手はなかなかそういう機会がない」(廣山望コーチ)中で、あらゆる練習試合でPK戦の機会を設けて「場数を踏ませる」取り組みを続けている。もちろん、PK戦までいかずに勝ち切ることが理想だが、「PKで勝つ自信が付いてきた」と後藤が胸を張ったように、積み上げの成果は徐々に出てきている。

 15日に開幕する大会で日本の初戦は17日。前回王者として臨む日本は、ウズベキスタン、ベトナム、インドの順番で対戦する。

 そこで大きなポイントとなりそうなのは初戦。「去年やってコテンパンにやられた」と後藤が悔しそうに振り返ったように、昨年アウェーで対戦した際は0-3で大敗。コロナ禍がチームを直撃し、森山監督まで感染して離脱しまった特殊な状況での敗戦とはいえ、「地力のある相手なのは間違いない」(森山監督)。まずはここに勝ち切っての好スタートをできるかが重要なポイントとなりそうだ。

 その上で、「あえて早めの交代をするといったこともしながら、23人全員で戦っていきたい」と指揮官は言う。そうしたマネジメントをする最大の理由は、勝てば世界大会出場となる準々決勝が確実に一大決戦となるから。「中2日の連戦を繰り返す中でも、準々決勝で最大のパフォーマンスを出せるようにもっていく」(森山監督)ことで、サウジアラビアやオーストラリアといった難敵との対戦が予想されるこの舞台を突破し、U-17W杯の出場権をもぎ取りたい。その上でもちろん、「アジアチャンピオンになる」(道脇)ことを目指していく。

取材・文◎川端暁彦


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