北中米ワールドカップのラウンド32で、日本代表はブラジル代表と対戦する。昨年10月にホームで対戦した際には3−2で逆転勝利を収めた相手だが、選手たちは親善試合とワールドカップでは違うと口にする。カルロ・アンチェロッティ監督が、日本戦以降、さらに強化に努めてきた『本気のブラジル』とはどんなチームなのか。日本が返り討ちにする隙があるのか――。

上写真=調子を挙げているヴィニシウス。日本戦でも脅威になることは必至だ(写真◎Getty Images)

ヴィニシウス&クーニャがカギ

 日本代表が6月29日(日本時間26時キックオフ)の北中米W杯ラウンド32で対戦するのは、歴代最多5回の優勝経験を持つブラジル代表だ。

 グループステージ初戦でモロッコと引き分けたものの、残る2戦で快勝し、2勝1分で決勝トーナメントに駒を進めてきた“王国”が、約半年ぶりにサムライブルーの前に立ちはだかる。

 ブラジル大手『グローボ』によれば、日本戦のスタメンはグループステージ第3戦のスコットランド戦と全く同じになる見込みだという。もし2試合続けて先発固定となれば、カルロ・アンチェロッティ監督就任以降では初めてのことだ。

 ハイチと対戦したグループステージ第2戦で右太もも裏を痛めたハフィーニャが戦線離脱。攻撃の核となるプレーヤーを負傷で失ったものの、スコットランド戦ではネイマールが復帰を果たし、先発メンバーのベストな組み合わせも見出したようだ。

 アンチェロッティ監督率いるブラジルは、かつてのようなテクニカルで美しいサッカーを標榜するチームではない。今大会の出場メンバーには速攻の局面で力を発揮する傾向の強い選手が多く、チームとしても手堅く守って、ボールを奪ったら効率よくカウンターで仕留め切ろうとすることを念頭に置いている。

 実際、スコットランド戦の2点は「高い位置での守備→プレス→相手のミス誘発」という流れから生まれたものだった。また、グループステージ3試合で記録している7点のうち5点は「プレス→奪回→素早い攻撃」の流れで奪った。力関係を考えればブラジルがボール保持率で上回ることも可能だが、あえて日本にボールを持たせ、強度の高いプレスで即時奪回からのカウンター攻撃を狙ってきてもおかしくはない。

 堅守速攻型のブラジルにおいて鍵となるのは、前線で抜群の連携を披露するヴィニシウス・ジュニオールとマテウス・クーニャの2人だ。

 守備時は4-4-2、攻撃時(ポゼッション時)は3-1-4-2となる可変システムを基本に戦う“セレソン”において、2トップ気味の配置でプレーするヴィニシウスとクーニャの出来がチームの勝敗を左右する。前者はここまでの3試合出場で4得点、後者は3試合に出場して3得点と、W杯の舞台で躍動している。

 攻撃のメカニズムはヴィニシウスをどれだけゴール近くでプレーさせるかを前提に構築されている。左サイドバックのドウグラス・サントスが高い位置を取ることでヴィニシウスをサイドから中央に寄せ、擬似的に3-1-4-2の形に変化する。

 クーニャは中盤まで落ちたり、サイドに流れたりして起点を作り、その脇や背後にできるスペースをヴィニシウスが使ってゴールに迫ってくる。アンチェロッティ監督はレアル・マドリー時代にも指導したヴィニシウスの守備における負担はほぼ免除し、攻撃では自由を与えることでハイパフォーマンスを引き出している。ブラジル国内では「アンチェロッティがヴィニを復活させた」と、その手腕に賞賛が集まっているという。

 中盤の底ではカゼミーロがどっしりと構え、前線ではクーニャ、ヴィニシウス、ルーカス・パケタ、ブルーノ・ギマランイスが流動的にポジションを入れ替えながら好連携を披露する。中でもブルーノ・ギマランイスに関しては、強靭なフィジカルを生かした対人守備やカバー範囲の広さでチームに不可欠な選手となっている。


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