上写真=モンテレイの事前キャンプ3日目。この日合流した吉田麻也について板倉滉は「チームにプラスしかない」と語った(写真◎佐藤景)
5試合無失点も「反省して直すことが重要」
北中米ワールドカップ(W杯)の初戦で激突するオランダについて(現地14日)、この日、サポートプレーヤーとしてチームに再合流した吉田麻也は「クーマン監督がオーソドックスな4-3-3をベースとしながらも、劣勢時にはなりふり構わず圧倒的な高さを押し出してくる合理性を備えている」と指摘する。日本が大会を勝ち抜く上で重要な初戦で、鍵となるのがセットプレーを含めた高さ対策であり、パワープレーへの対応であることは論を待たない。
メキシコ・モンテレイの事前キャンプでも、早速、このテーマに取り組んだようだ。この日は、オランダの「武器」をよく知る2人のDFに話を聞くことができた。オランダの主将であり世界最高峰のDFであるフィルジル・ファン・ダイクとサウサンプトン時代にセンターバックコンビを組んでいた吉田と、オランダの名門アヤックスでプレーする板倉滉だ。
吉田はオランダの強みを指摘した。
「僕らがリードしていれば(オランダは)どんどんクロスを上げてくる可能性はあるし、無駄なファウルが増えると、やっぱりキッカーもいいし、高さもあるので警戒しなきゃいけない。相手の得意な土俵で戦ってはいけないなと思います。本当にセットプレーはスローインも含めて、ディテールで得点が動く。こういう大会では(セットプレーが)大きなウェイトを占めている」
かつて隣でプレーしたからこそ分かるファン・ダイクの空中戦の破壊力、そして終盤に割り切って放り込んでくるオランダのパワープレーの凄み。吉田は、ロシア大会のオフサイドトラップのような「アイディアを今から温めておいて2戦目、3戦目、それ以降にも繋げていくことが大事」だとも語った。
一方、板倉は、オランダのパワープレーで脅威となる197センチのFWワウト・ウェフホルストとチームメイト。その特徴をよく知る立場にある。
「彼(ウェフホルスト)はボックス内でのワンタッチのシュートだったり、そういうところの強さ、正確さというのがある。日頃からやっているので、1発の怖さを常に持っているのは知っているし、そこは注意しないといけない。チームにも伝えたい」
かつてファン・ダイクの相棒だった吉田と、現在ウェフホルストとチームメイトの板倉。さらに同じくアヤックスの所属の冨安健洋も合わせ、3つの視点が交錯する日本のディフェンスラインにおいて、オランダの高さへの対策は具体的なイメージを伴って共有されている。
現在5試合連続無失点中と堅守を誇る日本代表だが、板倉は安易な楽観論を戒める。「こういうときに大事なのは、この5試合でもリスクがあった部分をまず反省して直していくこと。スキを見せないこと」。たとえ失点しても、カタール大会のドイツ戦やスペイン戦のように逆転できる心持ちが大事だとも語るDFは、合流した前キャプテンとの関係についても次のように実感を口にした。
「(吉田の存在は)チームとしてはプラスでしかない。必要なところを常に声をかけながらやってくれている。一緒にやっていたので、隣でたくさん学ばせてもらっていますし、普段からコミュニケーションも取ってくれる。今日も本当にそういう話、練習後のトレーニングというのを一緒にできたので、非常にポジティブだなと思います」
大会直前のテストマッチがU-19日本代表との練習試合のみという異例のスケジュールに対しても、吉田が「戦術がバレない情報戦としてのメリット」を説けば、板倉も「各自がシーズンを通して戦ってコンディションを整えてきているので全然問題ない」と同調する。
外野の不安をよそに、レジェンドが持つ経験の蓄積と、日常をオランダで過ごして手にしているリアルな感覚が融合し、難敵の高さ跳ね返す現実的な準備が着々と進められている。
取材◎佐藤景【現地】
