上写真=縦横無尽の動きで勝利に貢献した佐野海舟(写真◎毛受亮介)
6月の復帰以来、6試合中5試合で先発
ピッチの至る所に佐野海舟がいた。まさに縦横無尽。豊富な運動量と鋭いアプローチを武器に相手ボールホルダーに食らいつくと、見事に奪ってそのまま前進。そんなシーンがこの日は何度も繰り返された。
「(代表の中で)地位が上がったとも思っていないですし、自分のやるべきことを続けていくしかないと思います。毎活動、課題が出ているので、それを日々自チームに帰って修正する繰り返しでどんどん成長していきたいなと。これから先もそれは変わらないと思います 」
そう本人は謙遜するが、誰の目にも明らかなハイパフォーマンスだった。先制点の場面、センターバックの谷口彰悟とセメンヨを挟む形でボール奪取に成功すると、そのままドリブルで運び、左の南野拓実に展開。ゴールをアシストした。
「前線にキープできる選手がいるので、サンドするところだったりというのは意識していましたし、奪ってから前にスペースがあったので、うまく運べたと思います。(上田)綺世くんがすごくいい動き出しをして(相手を)釣ってくれたので、そこ(=南野)にパスを出すことができましたし、ゴールにつながって良かったです。
迷いはなかったです。拓実くんがトラップからシュートまで、すごく技術高くゴールにつなげてくれました」
この日、コンビを組んだ田中碧に加え、途中からピッチに入った藤田譲瑠チマ、さらにベンチにはキャプテンの遠藤航、鎌田大地、そして今回招集されていない守田英正と、日本のボランチは多士済々だ。その中でも佐野は国内組で臨んだE-1選手権を除くと、6月の代表復帰以来の6試合で5試合に先発している(メキシコ戦のみ途中出場)。
本人は「(代表に)定着している意識もないですし、日々、自分の武器を出していかないと生き残れないので、それは変わらず、ブレずにやっていきたい」と謙遜するが、すでに主軸の一人と言っていいだろう。佐野の台頭により、日本はゲームを組み立てるボランチ、ボールを奪うボランチに加えて、世界と戦うときに不可欠な『奪って運べる』ボランチを手にしたと言える。
取材◎佐藤景
