上写真=鈴木淳之介はまたもや印象的なプレー。身体能力に優れるガーナの選手たちを完封した(写真◎毛受亮介)
■2025年11月14日 国際親善試合(観衆40,030人/@豊田ス)
日本 2-0 ガーナ
得点:(日)南野拓実、堂安 律
優しさのスルーパス
10月シリーズのブラジル戦を大逆転でものにしたチームにあって、ひときわ輝いていたのが新鋭DF鈴木淳之介だった。ブラジルの強くてうまい選手たちに物怖じせずに渡り合い、試合をしながら目の前でぐんぐん成長していく様が、見る者の心を引き付けた。
続くガーナ戦で、ブラジル戦の出来がフロックではなかったことを堂々と証明した。いわゆる「もうひと伸びする」アフリカ勢の身体能力の高さに、難なく対応したのだ。
「そういうのはアフリカの選手の特徴だと思うので、初めての経験でしたけど、いい対応ができたと思います」
2つの「初」のうちの一つが、アフリカ勢との対戦だった。
「出る足の長さだったり、懐の深さだったり、また違った特徴があるチームだったので、(ブラジルとの)強度の違いはそこまで分からなかったですけど、こういう特徴のあるチームに勝てたというのは大きいなと思います」
勝てた、というのはもちろんチームが勝利を収めたという意味だが、鈴木個人のプレーでも相手に完勝したわけだ。
もう一つの「初」はウイングバックでのプレーだ。75分にピッチに入ってきた安藤誓哉が3バックの左に入り、鈴木は左ウイングバックへ。
「いろいろな選手がやっているのを聞いたりしてるので、初めてのポジションで難しかったですけど、さらに良くしていけると思います」
なかなかの好感触だ。
「2-0で勝っていたので、行くところと行かないところをしっかり判断しながらやりましたし、行くところはしっかりガツンと行きました。そういう意識は良かったかな」
86分のシーンがまさにそれ。左に張って受けてするすると持ち運ぶと、ポケットに優しいスルーパス。走り込んだ藤田譲瑠チマのフィニッシュを導いている。強さ、堅さだけではなく、柔らかさも兼ね備えていることを知らしめるプレーだった。
「(藤田が)しっかり見えていましたし、しっかり走り込んでくれていたので、本当に良かったなと思います」
納得のワンプレーだった。そして、2つのポジションでプレーできることは、チームを助けることにつながる。
名古屋グランパスのファンだった少年時代にあこがれた豊田スタジアムでプレーすることができた。
「本当に楽しかった。また帰ってこられるように頑張りたい」
少年が成長して日本を引っ張る立場になり、2つの「初めて」を楽しんだ。今度はさらに大きな存在になって、またここに凱旋するつもりだ。
