上写真=初日のトレーニングに臨み、汗を流す長友佑都。左は長谷部誠コーチ(写真◎青山知雄)
W杯優勝を狙えるかどうかを測れる2試合
「パラグアイも力はあると思いますけど、ブラジルは本当の意味で世界のトップ。自分たちの位置を今回、測れるんじゃないかなとは思います」
長友の言う通り、ブラジルは世界のサッカー界でトップグループに位置する存在だ。南米予選こそ5位で突破したが、6位まで突破できる状況の中できっちり出場権を手にした。1930年の第1回大会から来年開催される北中米大会まで22大会すべてに出場しているのは、ブラジルだけである。
「もちろん相手は違いますが、前回(9月の対戦相手)よりもレベルはもう1段、2段上がる。今までのアジア予選とは違うサッカーにはなるし、違った展開になるんじゃないかなと思う。やっぱりブラジルには攻め込まれたり、ボールを持たれるシーンがたくさんある。その中で、今までアジアでやってきた守備でしっかりやれるかどうかもそうだし、自分たちの位置だったり、このままでワールドカップの優勝を狙えるのかというところを測れる部分があると思う」
自身5度目のワールドカップ出場を目指す長友は、大会で勝つことの難しさと、その大会を最多となる5回制しているブラジルの強さをよく知る選手だ。ブラジルとの直近の直接対戦は3年前の6月。PKによる失点により0−1で敗れたその試合も、ピッチに立っていた。
「3年前のブラジル戦の時よりも明らかにJリーグでパフォーマンスを出せていますし、正直、3年前はあまり出せていなくて、『俺、ヴィニシウスを止められるのかな』という不安が過っていたことを鮮明に覚えています。なので、それと今はもう明らかに違う。あのときよりもコンディションを上げていますし、状態もいい。パフォーマンスはまだまだ満足とはいかないですけど、出せているので、もちろん出番が来たら前回以上にやれると思っています」
昨年3月に代表に復帰以降、ベンチ外が続いたときも「いつか出番が来る」と長友は言い続けてきた。それは絶対の自信を持つ武器があるからだ。
「相手のウイングがヴィニシウスとかそういう選手になったときに、今までのやり方で、今までの選手でいけるのかどうかも含めて、そこは測れる部分はあると思う。僕自身は、例えばウイングバックにしても、彼らのようなプレーはできないけど、彼らも守備の部分で自分のようなプレーできない。自分も唯一無二の特長は持っていると思うし、それが必要な時が必ず来ると僕は思っている。だからそこを磨き続けると。
僕は(三笘)薫になれないし、(中村)敬斗になれない。(堂安)律や(伊東)純也にもなれないですけど、彼らに持ってない僕の特長もあるので。そこを磨き続ける。ワールドカップで相手が強くなればなるほど、僕が必要な時が来るというのを自分自身をイメージしているので。それに向けて準備をするだけです」
実際、森保一監督は代表で三笘と1対1のメニューをやると、長友が最も止めてみせると明かしたことがあった。
10月シリーズで対戦するのはパラグアイとブラジルという南米の強豪国だ。長友が言う「必要な時」だろう。9月のアメリカ戦では3バックの左ストッパーを務め、持ち味を出し切れずに終わった。来年の本大会までアピールできる機会はそう多くない。今回は長友にとって格好のアピール機会と言えるかもしれない。
