上写真=ゴールドカップ決勝でアメリカを逆転で破り、連覇を飾ったメキシコ代表(写真◎Getty Images)
かつて日本を率いた指揮官が世代交代に着手
メキシコ代表を率いているのは、ハビエル・アギーレ監督だ。そう、かつて短期間ながら日本代表も指揮した、あのアギーレ監督である(在任:2014年8月―15年2月)。
日本を離れてからはUAEのアル・ワフダを皮切りに、エジプト代表やレガネス、モンテレイ、マジョルカといった多くのチームを渡り歩いた。マジョルカ時代には久保建英も指導している。
メキシコ代表監督に任命されたのは2024年7月のこと。招待国として参加したコパ・アメリカ(南米選手権)でグループステージ敗退に終わったことでハイメ・ロサーノ監督が解任されると、後任としてマジョルカでの仕事を終えたばかりのアギーレ氏に白羽の矢が立った。同氏にとってメキシコ代表監督就任は2001年、2009年に続き3度目だ。
66歳になったベテラン指揮官は、自国が開催国の1つになっているW杯に向けたチームを作っていきながら着実に世代交代も進めてきた。アシスタントコーチにメキシコ代表のレジェンドでもあり、古巣バルセロナのBチームなどで指導経験を積んできたラファエル・マルケスを任命したのも、次世代への橋渡しを重視している証拠だろう。
就任からの約1年で残してきた結果は、アギーレ監督の取り組みが正しいことを証明している。今年3月には決勝でパナマ代表を破ってCONCACAFネーションズリーグを制覇、さらに7月にはアメリカ代表に逆転勝利してCONCACAFゴールドカップ(北中米カリブ海選手権)連覇を達成している。
特にほぼ同時期に開催されていたFIFAクラブワールドカップに出場するパチューカやモンテレイの選手を招集できないという制約のあったゴールドカップでの優勝は、メキシコ代表にとって大きな自信になったはずだ。
一方、今回の9月シリーズでは現状のベストとも言えるメンバーを集めている。8月下旬には国内組の選手たち23人を集めて異例の強化合宿も行い、最終的に海外組の選手も加えて25人のメンバーを招集した(発表直後にアンデルレヒト所属のFWセサル・ウエルタが負傷により辞退し、追加招集なしで24人に)。
国内組14人という編成からは、メキシコリーグの競争力の高さがうかがえる。同リーグにはセルヒオ・ラモスやハメス・ロドリゲス、ケイラー・ナバス、アラン・サン=マキシマン、アンヘル・コレア、アーロン・ラムジーなども参戦しており、欧州トップリーグに引けを取らないハイレベルで強度の高いサッカーが展開されている。選手層の厚みは、そうした日常のクオリティの高さに支えられていると言えよう。なお、ゴールドカップ優勝の立役者となった16歳のヒルベルト・モーラは国内随一のタレントだが、今月下旬に開幕するU-20W杯への出場を控えるためA代表招集を見送られた。
