上写真=7日、日本代表のトレーニングで汗を流す大橋祐紀(写真◎佐藤景)
古巣・広島の優勝争いには「めちゃくちゃうれしい」
この夏、サンフレッチェ広島からブラックバーンに移籍した大橋祐紀は5試合で4得点といきなり結果を出し、今回、日本代表に初招集されることになった。
「本当にうれしかったですし、ずっとプレーしたいと思っていました。どんな選手も、海外でやっている選手にとっても、日の丸を背負って戦うことというのは目指すべき舞台。もちろん結果を求められますし、責任も感じています」
1996年生まれの28歳。これまでA代表の経験はなく、遅咲きとも言えるが、本人には焦らず一歩一歩、目標に進んできた自負がある。
「少しずつ少しずつ成長していけるように。自分は決して上手な選手だとは思っていないし、人の倍もがいて、しっかり地に足をつけて結果を出していきたいと思っています。まだまだ始まったばかりですし、何歳になっても関係ないと思っているので、チャレンジャーとして毎日一つ一つの練習から全力で。それが試合に向けていい準備になると思っています」
2019年に湘南ベルマーレでプロになって以降、度重なるケガに苦しみ、なかなか満足のいくシーズンを過ごせなかった。それでも昨季、ケガにより出場機会が限られる中でキャリアハイとなる13得点を記録すると、今季加入した広島でもシーズン途中までの22試合で11得点をマーク。ゴールを積み上げ、海外挑戦を果たした。そしてついに「目標としてきた」代表にたどり着いた。
今回の10月シリーズで日本代表はサウジアラビア、オーストラリアという難敵との連戦に臨む。大橋が出場機会を得れば、プレッシャーのかかる最終予選で代表デビューを飾ることになるが、初招集ながら本人はお客さんで終わるつもりはない。
「吸収して帰るのも大事だと思いますけど、試合に出て結果を出すのがどこの舞台でも大事だと思っていますし、ストライカーはゴールが一番の結果。そこを自分の中でも追求したい」と意欲を燃やし、「呼んでいただいたからには自分の持てるものを出して、結果を残せるようにしっかり準備したい」と勝利に貢献することを誓った。
さらにもう一つ。代表初招集とともに、大橋の気持ちを意欲的にさせているのが、シーズン途中で退団することになった古巣の存在だ。サンフレッチェ広島は今、J1で優勝争いを続けている。そのことが大いに刺激になっているという。
「めちゃくちゃうれしいですし、試合は毎試合、チェックしています。ここずっと勝っているので本当にすごいなと思いますし、チームメイトとも連絡は取っていて、本当に優勝してほしいと思います」
今回の代表招集やイングランドでの活躍を広島のファン・サポーターも喜んでくれているのでは? と聞くと「少しでもそう思ってくれたらうれしいですし、本当に感謝しかないので。頑張ります」と力強く語った。
代表では3−4−2−1の2シャドーの一角でプレーする可能性が高いと思われる。競争の激しいポジションだが、「シャドーと言われるポジションって上手な選手たちが多いと思うんですけど、自分はそういうタイプではなくて、シャドーをやってもストライカーとしての役割というか、そういった面が強い。広島でもそういう役割で、どんどんゴール前に近いポジションでプレーさせてもらっていたので、どのポジションであれ、自分の強みである前に前にというのをプレーできたら」。
湘南で育み、広島で磨き、ブラックバーンで高めた強み。大橋は、日本代表で自分を出し切るイメージができている。
取材◎佐藤景