日本代表の伊東純也がベトナム戦前日となる13日、練習後に取材に応じた。ベトナムとは接戦を演じてきた過去もあり、伊東は侮れない相手と気を引き締めた。試合は日本時間14日、20時30分にキックオフされる。

上写真=ベトナム戦に先発する可能性が高い伊東純也(写真◎佐藤景)

先制点を早い時間で取ることが大事

「前回のアジアカップの時は結構難しい試合になりましたし、侮れない相手だなと思います」

 伊東が「難しい試合」と話したのは前回大会のベトナム戦(準々決勝)だ。日本は堂安律のPKによる1点で辛くも勝利を収めた。

「結構、接戦が多いので。そろそろちゃんと勝ちたいなと言うのがあります」

 カタール・ワールドカップの予選での対戦も簡単ではなかった。アウェーゲームは伊東のゴールで1−0とし、何とか勝利を収めた印象が強い。本大会出場決定後とはいえホームでの試合も1−1の引き分けに終わっている。僅差の試合が多い相手との対戦に、だからこそ伊東は気を引き締める。

「先制点を早い時間で取ることが大事ですし、チャンスは多く作れると思うので、そこでしっかり決め切ることが大事だと思います」

 日本が押し込む展開にはなるだろう。ただ、それは相手も織り込み済みだ。前日会見でベトナムのフィリップ・トルシエ監督はこう言っている。

「我々がリアクティブになるだろう。ただ100%ボールを放棄するのではない。おそらく20%程度はボールを保持できる。10%保持できれば、どんな試合でも勝つチャンスは生まれる。2~30%ならなおさらだ。だからこそ、この機会をうまく利用したい。どんな場合でもチャンスに結びつけたい。
 ただし、明日の試合の予想については、私は神ではない。私はどこにも賭けないし、結果を求めて祈ったりもしない。常にリアリストでありたい。生で体験してその場で起こることを一つひとつ見ていきたい」

 つまり、日本に押し込まれる中で少ないチャンスを生かす準備を整えている。カウンターはその一つの手段であり、分厚い守備とともにベトナムが接戦に持ち込む術になる。

 どうやって相手の守備をこじ開け、カウンターを封じ込めるのか。それが伊東の言う「ちゃんと勝つ」ためのポイントになる。

「名波さん(コーチ)がポケットの後ろを取ろうという練習をやっていましたし、うまく人数かけて仕掛けるところは仕掛けますけど、シンプルに使うところは使って。相手の嫌なところにボールを送っていければというところだと思います」

 日本はアジアでの戦いを想定し、相手のブロックをこじ開ける練習を繰り返し行ってきた。昨年11月のW杯予選・ミャンマー戦でもその成果が見えたが、積極的にボールを動かし、相手を揺さぶって守備陣にほころびを作り、しっかりゴールを重ねたいところ。

「前回はあんまり出場する時間も長くなかったですし、今回はしっかり出場して、チームに貢献できればなと思います。アジアでしっかり勝てるようにというのと、前回は準優勝だったのでしっかり優勝できればいい」

 前回大会でスーパーサブだった伊東は、5年の歳月を経て絶対的な存在へと成長した。チームを引っ張る自覚も、その発言からはうかがえる。伊東のお膳立てから、いくつゴールが生まれるか。右サイドからゴール前に進出した伊東が何度ネットを揺らすのか。

 背番号14がピッチで躍動すればするほど、日本は勝利に近づく。

取材◎佐藤景


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