日本代表は16日、北中米ワールドカップ、アジア2次予選のミャンマー戦に臨み、5−0で快勝した。その試合の後半からピッチに立ったのが、伊藤敦樹の負傷により追加招集された佐野海舟だ。チームメイト、指揮官が評価する堂々たるプレーを見せた。

上写真=後半開始から登場し、代表デビューを飾った佐野海舟(写真◎毛受亮介)

彼の良さを随所に見せてくれた(森保監督)

 前半を3−0として迎えた後半、佐野は鎌田大地に代わってスタートからピッチに立ち、田中碧と2ボランチを組んだ。

 すぐにボールに触り、開始1分と経たぬうちに、ミャンマーのパスをカット。そして48分には相手がカウンターに出る瞬間にボランチのウェリン・アウンに体を寄せてボールを奪い取ってみせた。

 その直後には、左サイドの相馬勇紀のクロスが相手DFにクリアされて、こぼれてきたところを右足のボレーでとらえ、シュートを放つ。GKの正面を突いたが、スタンドがどよめく、鋭いシュートだった。

「(森保監督には)楽しんでやるようにというのと、多くボールを触ってと言われていました。まあ、できたかなと思います」(佐野)

 後半、日本は2点を追加。結果、5−0で大勝した。佐野は周囲の選手たちのサポートを受けてスムーズに試合に入り、実に堂々たるプレーを披露した。

 67分に上田綺世に代わって入った守田英正がアンカーを務めると、佐野はポジションを1列上げてインサイドハーフでプレーした。ともに中盤を構成した守田の佐野評はこうだ。

「何でもできるなというのは思いますし、なんか容姿も自分に似ているかなと(笑)。そこはちょっと嫌なんですけど(笑)。まあ、あんまり彼は喋らないので、職人っぽく黙ってやるみたいなタイプなんじゃないかなと。すごくいいというか、今日は良かったと思います」

 そして森保監督は佐野のプレーをこう評価した。

「彼の良さを随所に出してくれたと思います。相手のボールを刈り取る力、そして連続で守備をしてボールを奪う、味方にボールを渡せるという、守備の部分で彼の能力を発揮してくれた。それにプラスして、攻撃の部分でも起点として守から攻へのつなぎ役になるという、普段、鹿島で見せているプレーを代表でもしっかり見せてくれた。攻撃の力もある選手だと思っていますが、パスのクオリティー、攻撃の関わりというのは、戦術的にこのチームにまだ馴染んでいないとは思いますが、個人のレベルアップという部分でも守備もさらに磨いてもらいながら、攻撃の部分ではもっと上げてもらって、今日の経験がさらにいい選手になることにつながっていけば、私自身も指導者としてうれしいこと」

 佐野自身も、今回の試合は代表でプレーすることに対する思いを強くする経験になったという。

「(代表定着への意欲を問われて)そういう気持ちは高まりましたし、本当にこうやって国を背負って戦えるのはすごいことだと思います。責任やプレッシャーはありますけど、その中でもっと、どんどんやっていきたい」

 ついに辿り着いた日本代表。アンダーカテゴリーでは縁の無かった場所に立った佐野は、最後にこう言った。

「(アンダーで)選ばれるにこしたことはないが、自分みたいに選ばれなくてもこういうふうにA代表に呼ばれてプレーできると証明できたと思うし、もっとやっていけるようにアピールしていきたい」

 2023年11月16日、日本代表に近い存在と言われ続けてきた男が、大きな大きな一歩を踏み出した。


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