上写真=ドイツ戦から半分以上の先発が入れ替わると予想(画像◎サッカーマガジン)
CB板倉、ボランチ田中もスタメン起用か?
敵地でドイツ代表に完勝した3日後、ベルギーに移動した日本代表は、ゲンクでトルコ代表と対戦する。準備期間は2日だけ。森保一監督は前日会見で「中2日でトルコ戦になりますので、ドイツ戦からは大幅にメンバー変更をして試合に臨みたいと思っています。ただ、練習を全体的にまだやっていないので、今日のトレーニングを見て、最終的にはメンバーを決めていきたい」と複数人、先発が変わることを示唆した。
「トルコ戦は非常に重要な試合ですし、我々が勝利を目指して戦うとともに、選手層の幅を広げる、厚くする、そしてより多くの選手に我々の戦うコンセプトの部分の共有をしてもらうという意味も考えて試合に臨みたい」
先発全員を入れ替える可能性もあるが、「大幅」というからには、何人かはドイツ戦から引き続き、先発を務めるのかもしれない。その上で、層の拡充を狙って新たな選手を起用していくのだろう。
今回のシリーズは戦術練習がほとんど公開されていないため、予想するのはかなり難しいが、チームの骨組みとなる何人かの選手と、新たな選手が融合した11人を予想した。
まずはフォーメーション。ドイツ戦に引き続き4−2−3−1と予想する。とは言っても現在のチームは相手の出方によって陣形を変更して対応しており、これはあくまで基本的な形になる。
実際、ドイツ戦では守備の局面で4−4−2(トップ下の鎌田大地が1列上がって上田と2トップ)、そして相手がビルドアップの際に3枚回しになれば、三笘、上田、鎌田でプレスをかけるなど、対戦相手の出方によって柔軟な対応を見せた。
また、2トップで相手最終ラインにプレッシャーをかける際には、右サイドハーフの伊東は状況を見つつ、相手左CBのリュディガーから左サイドバックのシュロッターベックへのパスコースを切るなどフレキシブルにプレー。フロントラインと中盤の選手たちによる連動したプレスで何度も相手をはめ、その結果、ミスを誘発してボール奪取に成功した。
臨機応変な対応力とプレスの精度が上がっていることを示した日本だが、一つ懸念があるとすれば、ドイツ戦で先発した選手たちと顔ぶれが変わったときにも、同じように柔軟な対応が可能かどうかだ。
トルコ戦で大幅にメンバーを変えた場合、日本の特徴になりつつある臨機応変さを維持できるか否か。この試合で見るべきポイントの一つと言えるかもしれない。
まずは前線から予想してみたい。上田綺世がケガにより離脱した1トップは古橋亨梧が務めるとみる。浅野拓磨、前田大然も候補だが、いずれも途中から投入し、ゲームの流れを変えたり、試合を決める役割を担うと思われる。
2列目の右は久保建英。ドイツ戦において、わずか15分のプレーで2ゴールをお膳立てした事実が示すように、ただいま絶好調。ただ代表合流直前の試合には出場したものの、右大腿部の違和感によりその試合に至るまでクラブでの練習にほとんど参加できていなかったため、コンディションを考慮してドイツ戦は限定的な出場になったようだ。本人は先発に意欲的だったが、溜め込んだ思いは、このトルコ戦で発揮されることになりそうだ。
トップ下は鎌田。トルコ代表は4バックを基本としており、今回も日本は4−4−2で守り、2トップが相手2CBにプレスをかける形がベースになると想像される。前回トップ下に入り、1トップの上田とともにその役を担った鎌田は、攻撃の局面ではサイドに流れて数的優位を生み出し、ビルドアップをスムーズにした。実際、菅原由勢の攻撃参加を促して得点に絡むなど、そのクレバーなプレーが光った。ドイツ戦は58分と比較的早めに交代しており、トルコ戦の先発も問題ないだろう。そして疲労を考慮しつつ、後半に鎌田から堂安に交代するケースも考えられる。
一方、左サイドはドイツ戦で86分までプレーしたものの、三笘が引き続き先発すると予想した。前半で試合が決まれば、45分間のプレーで後半から前田大然や中村敬斗に引き継ぐ形もありそうだ。
ボランチに並ぶのは遠藤航と田中碧。遠藤はやはり外せない選手でプレスの全体像を描きつつ、日本の前線を突破してきた相手選手を捕獲する役割を担う。ドイツ戦にフル出場しているため、先発して60分あたりで守田英正と交代する流れが現実的かもしれない。その遠藤とコンビを組むのはドイツ戦に途中出場して得点を決めた田中。いいイメージを持ったままトルコ戦に先発するとみる。前への推進力を示して連続ゴールも期待したいところだ。
最終ラインは4バックで、右から橋岡大樹、板倉滉、谷口彰悟、町田浩樹と予想した。右は菅原の可能性もあるものの、先発は橋岡が務めると予想。86分からの出場で今シリーズで試運転済みの橋岡が先発するのではないか。
CBコンビは板倉と谷口。長期離脱から復帰してまだそれほど時間が経っておらず、所属するアーセナルで今季まだフル出場がない冨安健洋はドイツ戦で圧倒的なパフォーマンスを見せたものの、中2日の厳しい日程も考慮し、無理はさせないだろう。板倉&谷口のコンビは、前回W杯の最終予選時にプレーしており、不安はない。左の町田を加えて3バックへの移行もスムーズにできるだろう。
その町田だが、トルコ戦前の取材の中で「左サイドバックとCBの両方で監督は考えられていると思います」と自分の立場を説明。どちらで起用されても準備はできていると語っている。所属するサンジロワーズでは3バックの左、東京五輪代表では左サイドバック、そして鹿島時代は4バックの左CBと、その万能性は大きな武器だ。
GKは特に予想が難しい。ここは6月シリーズの例にならって、1試合目が大迫敬介だったので、2試合目は中村航輔が務めると予想した。右足を痛めているシュミット・ダニエルはその回復具合にもよるが、今回は大事をとってベンチで試合を眺めるのではないか。GK3人が刺激し合う関係については、指揮官も歓迎するところ。ドイツ戦勝利を受けて、一層注目されるトルコ戦でゴールマウスを守るGKは間違いなく高いモチベーションでプレーするだろう。
ドイツ戦前の取材の中でMF守田英正が「ヨーロッパの中堅国以上のところに来ていると自覚して臨むべき」と語っていた。実際に敵地でドイツに完勝した今、日本はすでに大国に勝つことが珍しくない水準に達しつつあるのかもしれない。厳しい日程の中での試合になるが、そのことをよりはっきりさせるためにも、中堅国トルコにきっちり勝って、9月シリーズをいい形で締めくくりたい。
取材・文◎佐藤景