森保一監督は日本時間9日深夜に行われるドイツ戦の前日会見で4−2−3−1を基本すると明言した。また、相手が可変することにも触れ、うまく対応していきたいとも話した。可変に対応可能な陣容が先発を飾ることになりそうだ。

上画像=ドイツ戦に臨む日本代表の予想布陣

久保建英はベンチスタートか?

 前日会見において、森保一監督は4−2−3−1で試合をスタートさせると明言した。相手のドイツが日本戦に備えて行ったとされるU−20ドイツ代表との練習試合で4−3−3を採用。当然、その情報を得ているはずの指揮官が、陣形をあらかじめ高い位置で『噛み合わせる』ことを想定したのかもしれない。

 今年7月の取材の中で、指揮官はカタールW杯でのドイツ戦の後半、マンツーマンで相手をハメにいった戦い方の手応えを口にしていた。さらに現在のチーム編成においてヨーロッパでプレーする選手が多く、マンツーマン気味の守りを常日頃から経験している点を踏まえて「人を合わせにいく」ことに関して、かなりポジティブだった。

 以前なら1対1で劣勢になるからまず組織で守るという考えのもとにチームを編成することもあったかもしれない。ただ今の森保監督にその発想はない。それだけ選手の力が向上し、自信を深めているということだろう。4−3−3に日本が4−2−3−1で臨む場合、攻撃時には構造的にCBがフリーになりやすい。最終ラインより前ははまっている状態になるものの、CBに持ち運ベる選手を据えれば、ビルドアップから相手のマークが外れていく状況も生み出せる。そして日本には、冨安健洋、板倉滉、谷口彰悟と、その手のプレーに長けた選手がそろう。

 相手が可変するドイツというチームであることを考えても、人を噛み合わせることは有効だ。6月のペルー戦では相手が3枚で回すようになると、その3枚に対してインサイドハーフの鎌田大地が前に出て、左の三笘とトップの古橋亨梧でマーク。試合中の相手の変化にもスムーズに対応していた。

 何より、今回のドイツ戦のテーマはトライにある。3月、6月と積み重ねてきたことを発揮することに主眼が置かれているはずだ。森保監督は「個人の力量をはかる格好の舞台」として今回の一戦をとらえ、実際、マンツーマンでぶつける可能性も示唆していた。

 以上の理由から初期設定は4−2−3−1であるものの、相手の変化に柔軟に対応できることが今でのチームでは大前提になっていることを強調しておきたい。

 まずはGKから。先発は大迫敬介と予想した。シュミット・ダニエルは3日前の練習後、足にアイシングしたままスタジアムをあとにしており、負傷の大きさこそわからないが、万全な状態ではないと思われる。中村航輔は6月シリーズにおいてペルー戦で先発。2試合目にゴールマウスに立っているが、今回も先発するのはトルコ戦ではないか。1試合目は前回同様に大迫敬介が担うと読む。練習中のフィールドプレーヤーとのコミュニケーションの取り方からも大迫の先発は十分あり得るとみる。

 DFは右から菅原由勢、板倉滉、冨安健洋、伊藤洋輝。菅原、板倉は第2次森保体制となって以降の4試合全てで先発しており、伊藤洋は3試合で先発(コロンビア戦はCBで先発)。その3人に今シリーズから復帰した冨安が加わる形になりそうだ。板倉と冨安は、本番3日前のロングボールに対応する練習メニューでコンビを組んでいた。二人ともが望んできたCBコンビながら、これまでどちらかのケガなどで組むことができず。ついにその機会がやってきた。

 MFは遠藤航と守田英正がボランチコンビを組み、2列目は右から伊東純也、鎌田大地、三笘薫の3人で構成。遠藤、守田のコンビは強度の面で全く心配はなく、攻守の役割分担も状況に応じて変更できる。守田が前に出て中盤の中央を逆三角形にすれば、4−3−3へのシフトも可能だ。

 相手のドイツは右サイドバックを務めるキミッヒが中盤に上がり、後ろを3枚にしてビルドアップするケースがある。その際にキミッヒのマークは三笘が付いていくのか、守田が前に出て対応することになる。川崎F時代から関係を築いている三笘、守田ならそれもスムーズに行うことができるだろう。

 右サイドは伊東純也が担う。自身がカタールW杯の中で最も強いと感じたドイツ相手に、今度は受け身ではなく、能動的なプレーをしたいと語る。左は三笘。代表活動の初日から好調を維持しており、果敢な仕掛けでゴールへのルートを開くことが期待される。日本が誇る圧倒的な突破力を持つ両翼で、ドイツ戦に臨む。

 トップ下は自身について「僕史上最高のコンディション」と語る久保建英の可能性もあるが、代表合流前の1週間は右大腿部の違和感のために練習がほぼできず、テーピングを巻いて試合に出場。2ゴールを奪う活躍を見せたものの、森保監督はここで無理をさせないのではないか。出るにしても途中からで、先発するのは同じく代表合流前の試合でゴールを奪った鎌田とみる。4−3−3へ形を変えるにしても、鎌田は所属するラツィオでインサイドハーフを務めており、問題なくプレーできる。6月のペルー戦でも相手の可変に対して周囲と連動しながら対応しており、今回のドイツ戦も先発してその役割を担うはずだ。

 1トップは上田綺世とした。前回のドイツ戦との違いの一つとして今回は相手のプレッシャーを剥がして前進したいが、その場合、ボールの受け手がしっかり前にいる方が望ましい。今回選ばれている中でボールをキープする役割を担うなら上田だろう。背後を突く動きも得意で相手を押し下げることもできる。前回の試合で相手にプレッシャーをかけ続けた前田大然や6月シリーズで存在感を示した古橋亨梧、前回対戦で決勝点をスコアした浅野拓磨は、流れを引き寄せたい場面で投入されるのではないか。

 果たして日本はどんな陣容でドイツと相見えるのかーー。注目の一戦は日本時間9日の27時45分にキックオフされる。

取材・文◎佐藤 景


This article is a sponsored article by
''.