上写真=今回の合宿でも溌らつとした動きを見せている谷口彰悟(写真◎サッカーマガジン)
相手相手になりすぎず、自分たちがどうしたいか
今回の活動から、冨安健洋が復帰した。その結果、センターバックは冨安、板倉滉、町田浩樹、伊藤洋輝、そして谷口彰悟と層が厚くなった(町田と伊藤洋は左サイドバックも兼任と思われる)。第2次森保体制の4試合におけるCBコンビの組み合わせは以下の通りだ。
・3月24日のウルグアイ戦(1−1):板倉&瀬古歩夢
・3月27日のコロンビア戦(1−2):板倉&伊藤洋
・6月15日のエルサルバドル戦(6−0):板倉&谷口
・6月20日のペルー戦(4−1):板倉&谷口
6月シリーズでカタールW杯以来の招集を受けた谷口は、いきなり2試合で先発を飾り、快勝に貢献した。エルサルバドル戦では久保建英によるFKから先制ヘッドを決めている。ビルドアップの最初の担い手として高いスキルを示し、安定した球出しを披露。今回の欧州遠征にも引き続き、招集されることになった。
ただ、ポジションが安泰かというと、そうではない。冨安が復帰したことで必然的に競争は激しくなっている。
「トミが帰ってきたことによってまた争いは激しくなります。でも、(代表には)質の高い選手たちがそろっているので、毎回、競争なのは間違いないですし、そういった意味では自分のやるべきこと、目の前の試合に向けて準備するというところは、何も変わらない。そこはしっかりやりつつ、もちろん、出るか出ないかわからないですけど、いつ出てもいいような準備は常にやるつもりですし、やってきたので。今回もそういう感じで準備して行こうかなと思います」
合宿3日目に行ったサイドの崩しからクロスをあげる練習では、CBの位置からボールを配る際に受け手の位置はもちろん、どちらの足にボールをつけるかにも気を配ってパスを出していた。当たり前のことだが、一つひとつのプレーを丁寧に行い、細部を疎かにしないのが谷口の持ち味でもある。
「自分たちの良さというか、特徴を出していく、攻撃の形を出していくというのは継続してやっていかないといけないところだと思います。また明日、明後日と、より対ドイツというところで準備していくと思いますけど、相手相手になりすぎず、自分たちがどうしたいというのを常に持っておかないといけないというのは監督も常々おっしゃっていること。その考えは選手みんなも持っているし、自分たちの武器をどう出していくか、短い期間ですけど、すり合わせていけたら」
9日に対戦するドイツにとってはホームゲームであり、リベンジの機会でもあり、序盤からアグレッシブにプレーしてくることが予想される。そして12日に対戦するトルコも構えることはせず、タレントぞろいの前線を生かすべく積極的な守備からゴールを狙いに来るだろう。
相手のハイプレッシャーをいかにかいくぐるかが、9月シリーズの重要なポイントになりそうだ。
「受け身になるだけでなく、どう自分たちから主導権を握ってやっていけるかというところは、一つのテーマにはなっています。主導権を握るといってもボールを持っているときだけがすべてではないし、守備のときにも自分たち主導でどう追い込んでいくのかとか、どう網にかけてカウンターを発動していくのかも非常に大きなポイントになる。攻撃だけじゃなく、守備のところも整えて挑まないといけない」
カタールW杯でドイツと対戦した際、前半は押し込まれ続けて何もできなかった。あの試合、谷口はベンチのチームの姿を見守ることになったが、感じることは多かったという。
「ドイツは奪われた瞬間の切り替え、即時回収して2次攻撃、3次攻撃というのを繰り返してくるチームだし、そのクオリティがある。そういうところを1本のパスやボールを奪った瞬間の味方につなぐパスとかで回避していく。なおかつ、自分たちのカウンターやチャンスにつなげていくことを求められるレベルまで(日本は)来ていると思う。そこは自分の持ち味というか特徴だと思っているし、そういうシーンがあればどんどんチャレンジしていきたい」
前から来る相手にひるむことなく、その背後の空いたスペースに正確にボールを届けるプレーや狭い場所を躊躇なく通していくパススキルは、谷口自身も自信を持つ特徴だ。今回のシリーズでも谷口の見せ場は必ず訪れるだろう。
取材◎佐藤 景