上写真=今月16日の韓国戦で1−0と勝利を飾ったペルー代表(写真◎Getty Images)
FIFAランクは日本が20位、ペルーは21位
ペルー代表は4月6日に発表された最新のFIFAランキングで、20位の日本代表に続く21位となった南米の強豪国だ。南米では16位のウルグアイ代表、17位のコロンビア代表に次ぐ5番手で、日本代表が3月に対戦した両国に匹敵する力を持っている。
カタール・ワールドカップは大陸間プレーオフでオーストラリア代表に敗れ、あと一歩のところで本大会出場を逃した。それでもペルー代表がワールドカップ出場国と遜色ないクオリティーがあるのは間違いない。
今月16日にはアウェーで韓国代表と対戦し、1−0で勝利を収めた。ペルー代表を率いるフアン・レイノソ監督は、韓国戦と日本戦を9月に始まる2026年北中米ワールドカップの南米予選に向けた重要な準備の場と位置づけている。19日の記者会見では「南米予選のホームやアウェーでの戦いを想定しながら試したい」と述べており、日本戦を9月以降の戦いに向けてチームの選択肢を増やすための機会にするつもりのようだ。
韓国戦は序盤から攻守にアグレッシブな姿勢を見せて試合の主導権を握り、11分にFWブライアン・レイナのゴールで先制に成功。その後も韓国代表をチャンスの数で圧倒したものの、ペルー代表は終盤にややガス欠気味となって追加点を奪えなかった。
しかし、日本代表の森保一監督は「長距離移動や時差、気候の違いによってコンディションは100パーセントじゃなかったのかなと思って(韓国戦を)見ていましたが、それでも勝ち切る強いチーム。コンディション的には2戦目のわれわれと戦う時の方が良くなると思うので、韓国戦の時よりもペルー代表が強いチームになっているという覚悟を持って、明日の試合に臨みたい」と警戒した。
選手たちも同様だ。FW浅野拓磨は「個々の能力も非常に高いし、ボールを持っている時の1人ひとりのプレーの技術もすごく高かった。ディフェンスでもフィジカル、スピードのある選手がいるなというのは映像を見ていても感じたので、隙を与えず、100%でプレーしないと勝てない相手」と語る。守備面に攻略の糸口を見いだしているようだが、決して甘く見てはいない。
ペルー代表の基本システムは4−2−3−1で、ベテランと若手がうまく融合した構成になっている。1−0で勝利した韓国戦の1トップには約2年ぶりの代表復帰を果たした39歳のパオロ・ゲレーロが先発起用され、アシストを記録した。
大ベテランのお膳立てを受けて決勝点を挙げたのは、24歳のブライアン・レイナ。かつてマジョルカのBチームに在籍した経験もある左ウイングは、レイノソ監督のもとでA代表デビューを飾り、現体制のトップスコアラーとなっている。馬力を生かした突破と、精度の高い右足が武器で、ペルーから大阪まで取材に訪れている地元記者も日本戦の注目選手に挙げていた。
また、日本代表とペルー代表が前回対戦した2011年6月の試合にも出場していたMFジョシマル・ジョトゥンやMFクリスティアン・クエバも来日している。彼らが柱となり、攻守両面で激しく戦うチームを支えている。
なお、韓国戦は22人で戦っていたが、日本戦は24人が起用可能だという。前日練習に参加したのもGK3人とフィールドプレーヤー21人の計24人だった。韓国戦を出場停止処分により欠場した元フランクフルトのDFカルロス・ザンブラーノや、足首に問題を抱えていたフェイエノールト所属のDFマルコス・ロペスも復帰できるようだ。
1トップにはゲレーロに代わって、ミラン時代に本田圭佑と同僚だったFWジャンルカ・ラパドゥーラの先発が濃厚となっている。大ベテランのカムバックに伴って背番号9を譲ったストライカーは、日本戦出場のためだけにペルー代表に合流した。
今月11日までカリアリの一員としてセリエBの昇格プレーオフを戦い、5試合4得点でセリエA昇格に貢献したラパドゥーラへの信頼は厚い。レイノソ監督は「モチベーションが高く、意欲にあふれている。ここ数週間、彼はフィジカル的にもメンタル的にも非常に消耗したはずだが、明日の試合のためだけに長時間の移動を経て代表に合流してくれた。きっとチームに貢献してくれるだろう」と、日本戦での活躍に期待を寄せていた。
第2次森保ジャパンにとって、9月のドイツ代表戦や来年1月のアジアカップに向けた試金石となる6月シリーズ最後の試合。南米らしいテクニカルな側面だけで無く、プレッシングの強度や球際の激しさを備えたペルー代表がどんなパフォーマンスを見せてくれるか注目だ。
取材・文◎舩木渉