上写真=三笘薫のシュートのこぼれ球を押し込んだ堂安律。2人で得点を喜んだ(写真◎毛受亮介)
素晴らしい入り方だった
6−0の圧勝にも堂安は冷静だった。収穫と課題を冷静に分析。自分のプレーやチームの状態について試合直後の時点で、すでにしっかり整理していた。
「ゲーム展開だけで言うと素晴らしい入り方をしたと思いますし、スタートというのは自分たちも練習していたので、いい入りがてきました。あとは自分のポジションに関してはインサイドを経由しなくてもウイングに(ボールを)つけられる状態だったので、(久保)建英と(三笘)薫くんの良さを出しながらというので、自分が(上田)綺世の近くにいてこぼれ球とかを狙っている状態でした。もっとプレッシャーがかかってきたら自分がポゼッションに関与して前に進めることをやるんですけど、そこを関与せずともゴール前まで行けていたので、フィニッシュのところでこぼれてきたらと思いながら前にいました」
この日は右インサイドハーフとしてプレー。前半終了間際には三笘のシュートのこぼれ球をプッシュし、ネットを揺らした。新10番としての初得点。その話に水を向けられると「皆さんにいまだノーゴールと書かれないのが、唯一のいいところかなと思います」と笑った。
右サイドでは周囲の選手と良好な関係を築き、頻繁にカットインしてくる久保と重ならないようにプレーしていた。そして相手が退場者を出したあとも攻撃姿勢を維持し、チームとしても前半のうちに4点を積み上げたが、テンションを変えずに戦ったことは当たり前と話す。チームメイトともピッチ上で、そしてロッカールームでも「継続」を確認していたという。
「2点、3点入ったときに自分たち選手内で練習していることにチャレンジしようと話をしていましたし、ハーフタイムも彰悟さん、滉くんはじめ、絶対ゼロでいこうという話はできていました」
11人対10人になってもこの試合が冗長な内容にならなかったのは、日本のそういう姿勢があったからに他ならない。ただ、堂安は自分に、チームに厳しい。
「大事なのは6得点できた中で、相手が強くなった時に、6ゴールのうちのどれが得点になるだけのクオリティーがあったのか。そういうことを自分たちで考える必要がある。そのクオリティーを自分たちが出せたかというと正直、クエスチョンではあるので。セットプレーとかすごくクオリティーの高いゴールではありましたけど、キーパーのミスも絡みながらとか色々とあったので、もっともっと自分たちに厳しくできる試合であったかなと」
カタールW杯でドイツを撃破し、スペインを破った立役者の一人。その視座は高く、当然ながらテストマッチの1勝で満足することはない。今シリーズから10番を背負う。足元をしっかり固めながら、視線は高みへ。大勝に微塵も浮かれない堂安は、正しい。