日本代表は『キリンチャレンジカップ2023』で15日にエルサルバドル代表戦に臨み、20日にペルー代表と対戦する。久々に代表に招集された川辺駿は初戦でスタートからプレーすることはなさそうだが、今回の活動の中で持ち味を発揮し、代表定着とプレミアリーグへの飛躍を誓っている。

上写真=久々に代表に招集された川辺駿。今回の活動には強い思いを持って臨んでいる(写真は13日の練習/サッカーマガジン)

スイスで文句なしの成績を残す

 約2年ぶりの日本代表招集となった川辺駿は「ずっとここに戻ってくるのが目標の1つだったので、まずはここに戻ってこられてすごくうれしいです」と素直な喜びを口にする。所属するグラスホッパーでは今季リーグ戦33試合に出場して9得点8アシストと、セントラルMFとしては際立った成績を残した。

 中盤でのプレーは無双状態。さらに目に見える数字を残したことで「90分を通して、そしてシーズンを通して良いプレーができた」と大きな手応えをつかんだ。そして、「次のステップに進まなければいけない時期かなとも思います」とも語る。

 川辺にとって「次のステップ」は日本代表への定着だけではない。レンタル元であるウォルバーハンプトン・ワンダラーズ(ウルブス)への復帰を何としてでも成し遂げなければならないのだ。

 ただ、プレミアリーグでのプレーを実現するために越えなければならないハードルがある。それはイギリスの労働許可証の取得だ。日本代表での直近2年間の公式戦出場率が30%を下回っている川辺は、「GBE(Governing Body Endorsement=統括団体の承認)」を取得するためのポイントを必要なだけ集めなければならない。

 代表チームでの出場割合や国内リーグの質、出場時間、所属クラブの最終順位などがポイントに換算されるが、川辺が現時点で持っているGBEポイントは必要な基準(15ポイント)を下回っている。とはいえ例外が認められてこの夏にウォルバーハンプトンへの加入が実現する可能性もあるからこそ、まずは日本代表として試合に出場して自らの価値をアピールしたいところだ。

「ビザ関係のことはあまり詳しくは言えないですけど、それでも常に結果を出して、常にウルヴスを目標にプレーしてきた。戻れたら自分としてはすごく嬉しいですし、チャレンジする価値のあるリーグ、チームだと思う。今後どうなるかはまだわからないですけど、それでも自分は行きたいと思っています」

 2021年夏にサンフレッチェ広島からグラスホッパーへ完全移籍すると、約半年後にはウルブスと3年半契約を結んだ。そのまま期限付き移籍の形でグラスホッパーに戻って1年半。ようやくプレミアリーグ参戦へのチャンスをつかめるところまできている。契約時点ではすぐにイングランドへ乗り込むことはできなかったが、大きく成長を遂げた今なら全く可能性がないわけではない。

「(プレミアリーグは)個人的には本当に世界一のリーグだと思っています。質、フィジカル全てがハイレベルなリーグだと思うので、そういう大きな舞台でプレーするための準備をこの2年間でしてきた。やっぱりそこに立ちたいですし、常にその目標があったからこそ日本代表という舞台に来られた。ここでまた結果を出してさらに近づけたらいいなと思います」

 エルサルバドル戦はベンチスタートが濃厚だが、出場機会を得れば「そのプレーができる選手はこの日本代表にもそう多くはない」と自負する運動量の多さやプレー範囲の広さ、得点力の高さを生かした躍動感あふれるプレーでアピールするつもりだ。

「持ち味がチームのオプションの1つになるように、自分が試合に出た時間で少なからず結果や良さを出さなければいけない」

 スイスで圧倒的な存在感を放っていた川辺は、2年ぶりの日本代表戦で進化を証明できるだろうか。親善試合ではあるが、今回の6月シリーズがプレミアリーグへ続く道の途中にあるのは間違いない。

取材・文◎舩木渉


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