上写真=モドリッチと競り合う守田英正(写真◎Getty Images)
どうして負けたのか、まだ整理できない
「僕はパフォーマンスは本当に不甲斐なかった」
いつもの守田ではなかった。トラップが乱れたり、パスがズレたり。正確な技術とインテリジェンスを発揮し、チームを機能させるボランチの姿が、この日のピッチで見られなかったのは確かだった。
「結果的に僕のところでやられたとか、そういうことではないですけど、もっと違いを作っていい試合にできたと思いますし、この試合に限らずもっとチームのために何かできたんじゃないかなという思いです」
ミックスゾーンに現れた守田は時折、目に涙を浮かべて試合を振り返った。
W杯による中断前、最後のポルトガルリーグの試合で左足ふくらはぎを負傷し(11月13日・スポルティング対ファマリカン)、大会初戦のドイツ戦は欠場することになった。チームの勝利を喜びながらも、歴史的な一戦に出られなかったことに悔しさをにじませた。
それだけ強い思いではW杯に臨んでいた。だからこそ、自身のプレーを不甲斐ないと断じたのだろう。
「どうやって負けたのか。PK戦なんですけど、どういう流れでこうなってというのはまだ頭の中で整理できていなくて…ただやっぱり自分たちがグループを突破したのも、本当に2、3本のチャンスをものにしたから。それが今回も同点に追いつかれた時もクロス1本でやられてしまって、本当にその1本が勝負を分ける。そういうところをもっと突き詰めていかないといけないと思います」
2戦目のコスタリカ戦からピッチに戻った。以降、クロアチア戦までの3試合は、いずれも先発に名を連ねた。文字通りチームの中心として戦い、グループステージ突破のかかったスペイン戦では世界を驚かせる勝利に貢献した。
だが、新しい歴史をつくると臨んだクロアチア戦で、思うようにプレーができなかった。その理由について、守田は「整理できない」と繰り返した。なぜ守田自身が「不甲斐ない」と感じるプレーになってしまったのか。それはW杯の舞台のせいなのか、老獪な相手、クロアチアというチームがそうさせたのか。
「僕はそれが何からきているものなのか正直、全くわかっていなくて…自分を客観視して、すごく分析して毎日やっていましたけど、いまだにわからないです。それも含めて整理する必要があるかなと思います」
すぐに分析することができないほど、クロアチア戦の内容と結果は大きなショックを伴った。
「本当にこの4年間、苦しい中で準備してきましたし、(最終)予選もやはり最初スタートが悪くて、いろいろ批判もありながらチームで一丸となってやってきたので。チーム力は素晴らしかったと思います。ただ、個人としての、選手としての価値も本当に高くてみんないい選手だと思う。何が次に…ベスト8に行くためにこうしないといけないというところがまだ僕の中で明確ではない。もう少し整理したいです」
課題にフォーカスし、それを克服することで成長につなげてきた。ショックの大きさは過去に経験のないものだったかもしれない。ただ、自己分析を終え、すべてを整理できたとき、一回りも二回りも大きくなった姿を見せてくれるのではないか。
初めてのW杯で得たのは、決してポジティブなものばかりではなかった。それでもそのすべてが、きっとフットボーラー守田英正の糧となるに違いない。