カタール・ワールドカップはノックアウトステージに突入し、日本は12月5日にラウンド16でクロアチアと対戦する。この大会で存在感を示しているのがGK権田修一。好セーブ連発でドイツ、スペインを1失点に抑える活躍を見せた。日本で初めてのベスト8進出へ、これまでの歴史を体に染み込ませて挑む。

上写真=スペインの猛攻を1失点に抑えて、権田修一が最高の笑顔!(写真◎Getty Images)

乾貴士と原口元気の悔しさ

 権田修一は、長い長い日本サッカーの歴史の上に自分が立っている僥倖を喜んでいる。

「過去の日韓大会、南アフリカ大会、ロシア大会のベスト16で負けた試合のハイライトを見ました。特にロシアでの負けというのは、僕が実際にその場にはいなかったですけど、その場にいなきゃいけなかったと自分自身が思っている中で、見ていてすごく悔しさとよりモチベーションをもらった試合でもありました」

 トルコに、パラグアイに、ベルギーに、それぞれ行く手を阻まれたヒストリーを目に焼き付けた。

「その4年後のこの場に自分がいることができて、その歴史を超えるというところに携われる可能性を持っていて、たまたま(ロシア大会のベルギー戦の)試合後のインタビューが乾選手と原口選手でして、乾選手は今年エスパルスで一緒にプレーしていて、原口選手は予選のときにこの日本代表にとんでもないぐらいに貢献してくれた選手で、その昔から知っている2人のインタビューを見て、この2人だけじゃないですけど、あの悔し涙を見たときに、この2人のあの大会があったから、今回僕たちはベスト8に行けたんだ、と、クロアチア戦が終わったあとにまたメディアの皆さんに言いたいなと思います」

 過去の悔恨を晴らす戦いが、迫ってきている。12月5日のクロアチア戦。勝てば、日本の歴史の中で初めてベスト8に進出できる。

「ワクワクしています。歴史を変えるというのは、普通に生きていてできることではないので。画面で見てきたスーパースターのような選手たちがなし得なかったことを、僕らがなし得る可能性がある、この場に立てたということは本当に喜びが大きいです。負けたら終わり、言い方としたら間違いなくそうなんですけど、いまは歴史を変えられることへの気持ちを大事にしています」

 相手はクロアチアだ。前回大会のファイナリストで、今大会も3試合で失点はわずかに1。冨安健洋の言葉を借りれば「堅い」チームである。

「実はサッカーで一番大事なのは、汗をかける選手だったり、黒子になって身を粉にして働ける選手であったりします。クロアチアには各ポジションでそういう選手が多い。センターバックのロブレン選手もリバプール時代はファンダイク選手の影に隠れている感じはありましたが、あれだけの強さがあるのはチームにとってプラスになる。そういうふうに、スター選手ではないかもしれないけど、そのスター選手を脇で固めていて、この選手がいないと困るというタイプが各ポジションで多いのがクロアチアなので」

 誰かの何かに頼るサッカーではなく、チームが一体となって向かってくる。いわば、日本と同じようなチームとも言えそうだ。

「そういう意味では、ボールを失った後の切り替えで、前にプレッシャーが来るわけではないですけど、守備で大事なところで戻るとか切り替える、体を張るというところの強さは、いままでのドイツやスペインとはまた違う強さがあると思います。そこは僕らも彼らから学ばないといけない部分であり、僕らが絶対に負けちゃいけない部分なのかなと思っています」

 自ら歴史を切り開く大一番まで、あと少し。


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