上写真=堂安律が日本人最多の1大会3得点よりも大事なものをピッチで表現する(写真◎Getty Images)
「ゴールをこじ開けるのは真ん中だけではない」
「逆転の日本」を主導しているのが堂安律だ。初戦のドイツ戦、第3戦のスペイン戦でともに、自慢の左足で同点ゴールを決めている。
もう1点取れば、日本のワールドカップにおける1大会最多得点者になる。
「個人的な記録はもちろん超えられればうれしいですけど」と前置きしながら、「それほどいまは考えてはいなくて、2点取ったことも忘れて、まずはベスト16の壁を越えようという思いのほうが強いです」。確かな自信はあるが、余計な虚栄心はない。
対戦相手はクロアチア。
「しぶとい、堅いチーム。ベテランが多いので、経験豊富な試合運びをする試合巧者だなと。前回大会を見ても、PK、PK、延長戦と全員ハードワークできてしぶとく勝っていった印象があるので」
堅ければ堅いほうが、自慢の左足がうなるというもの。その瞬間までに至る試合運びに集中している。サンプルになるのが、ここまで唯一の敗戦であるグループステージ第2戦のコスタリカ戦。
「ボールを保持しているときにビッグチャンスを作れていないというのは、正直見ている皆さんもそうですが、選手個人も感じています。コスタリカ戦みたいな感じにならないように」
つまり、慎重になりすぎて手詰まりにならないように、ということだ。
「やっていて思うのは、もっとシンプルにロングボールやハイボールを使っていいのかなと。チャンスになっているのはロングボールを蹴ってセカンドボールを拾って、そこからの2次攻撃。きれいな攻撃だけではなくて、誰かがチームのために背後を走ったりすることは必要になってくる。コスタリカ戦に関してはボール保持者がフリーなのに背後に行かなくて、あえてボールを回す時間が多くてもったいなかったシーンがありました。もっと狙っていってもいいのかなとは、個人的には思います」
もう一つのターゲットは、外。
「真ん中は堅い選手が多くて、中盤3人と2センターバックは経験のある選手がいて。ただ、サイドを攻略するチャンスは逆にあるかなと思っていて、そこは今日のトレーニングでいい話し合いができました。ゴールをこじ開けるのは真ん中だけではないので、うまく解決策は見いだせると思います」
キーワードは背後とサイド。ドイツ戦の逆転ゴールはロングキックから浅野拓磨が背後を取った。ドイツ戦の同点ゴールは左から三笘薫と南野拓実で崩し、スペイン戦の逆転ゴールも堂安が右から切り込み、左で三笘が真ん中へと揺さぶった。
ゴールの、勝利のイメージは確かにある。