上写真=田中碧がスペイン戦で逆転ゴール。この笑顔をクロアチア戦でも見たい(写真◎Getty Images)
「少し日本に似ていると思う」
クロアチア戦のホットゾーンは、ずばりミッドフィールドだ。
グループステージ第3戦でスペインから逆転ゴールを奪った田中碧は、ラウンド16で戦うクロアチアを破るために、彼らの最大の強みであるミッドフィールドでのバトルに勝つつもりだ。
「すごくテクニカルで個人としてもハードワークしてくる。特に中盤の3人はチームの核でもある。そこの攻防は非常にカギになると思います」
その3人とは、ルカ・モドリッチ、マテオ・コバチッチ、マルセロ・ブロゾビッチだ。順に、レアル・マドリード(スペイン)、チェルシー(イングランド)、インテル(イタリア)とビッグクラブで活躍する「三銃士」。ここで勝てば試合を優位に進められるし、負ければ劣勢に陥る。田中自身が中盤で走り回る役目だから、つまり自分の出来でチームが左右されていくという責任感だ。
「彼らに時間とスペースを与えないことがすごく重要になる。そこの攻防次第で展開が大きく変わりますし、局面局面でどちらが多くボールに関われるかでもゲームが変わると思うので、そこが一つのキーになるんじゃないかと思っています」
そんなクロアチアのことは、「日本に似ている」と感じているという。
「どんなシチュエーションにも対応できるのが彼らの良さ。絶対的に主導権を握るチームでもないし、握ろうとすれば握れると思いますけど、ドイツやスペインのように圧倒的につないでくるチームでもないですから。柔軟性、対応力に優れていて、少し日本に似ていると思います」
日本も総合力で選手個々の強みを「つなげる」戦いを是としてきた。ピッチに立つ選手のキャラクターを存分に生かすことで、戦い方に変化を加えることができる。では、田中自身の強みとは?
「自分はゴールではい上がってきた部分もあります。ゴール以外のところで満足はいっていないですし、物足りなさは感じていますけど、勝つために何が必要なのかと言われればゴールなので」
ワールドカップ最終予選では、自分がピッチの正しい場所に立つことで周りがプレーしやすくなる「潤滑油」としての特長を、いかにチームに組み込めるかを意識していると話してきた。そこから一歩進んで、3列目から迷わずにゴール前に出ていって自らが決着をつけた、スペイン戦のフィーリングをもう一度チームに吹き込むつもりなのだ。
「どんな形であれ、この前のような泥臭いゴールでも、ミドルシュートのような派手なゴールでもいいですけど、試合を動かすようなゴールは求めていければいいのかなと思います」
そうすれば、史上初のベスト8が見えてくる。