上写真=コスタリカ戦の鎌田大地はいつもの鎌田大地ではなかった(写真◎Getty Images)
状況はシンプル。スペインに勝つだけ
この日の鎌田は、いつもの鎌田ではなかった。イージーなミスが目立ち、ピッチを支配するような迫力にも欠けた。
「僕個人もそうだし、チームとしてもすごいイージーなミスが多かった。僕はああいうミスはしてはいけない選手だと思うんで、僕も良くなかったし、あとはあれだけコンパクトにアグレッシブに守られると、なかなか。今、僕たちだけじゃなくて、どこの国の代表も苦戦してて、やっぱりこれが国を背負って戦っているということだと思うし、W杯はどの試合も難しいものだなと感じています」
ドイツ戦勝利でラウンド16進出にアドバンテージを得たと思われたが、W杯は甘くなかった。初戦でスペインに0-7で敗れたコスタリカはなぜ7失点したかと思うほど守備が堅く、ゴールをこじ開けるのに苦労した。5-4-1の5-4で組み上げられたブロックの中で鎌田は力を発揮できず、普段ならあり得ないようなトラップミスまで犯した。
第1戦を終えて優位な立場になったことで第2戦はドローで終わり、勝ち点1積み上げることができればいいとの考えをチームとして持っていたという。「0-0で終わるのは悪くないと思ったし、最悪、この試合自体が0-0で終わっても別に悪くはないよねっていう感覚ではあったと思います。もちろん3はほしいですけど、最低勝ち点1取れれば」と鎌田は試合後に語っている。他の選手も同様の言葉を口にしており、スコアレスでハーフタイムを迎えた時点でも、確認し合っていたと振り返った。最悪なのは失点で敗れること。だが、その最悪を、日本は後半に体験することになった。
守田英正へ送った吉田麻也のつなぎのパスが中途半端になり、相手に奪われて失点。緊張感や他の大会とは全く違う空気やテンションが起こりえないことを引き起こすのか。日本は81分に失点し、そのまま敗れた。
「いま、フランス代表しか2連勝してなくて、どれだけ強いチームでも、どれだけ弱い…何て言うんですかね、実力が他のチームと比べてないチームでもやっぱりW杯っていうのは国を背負って戦ってて、みんなすごいプライドもあって、気持ちもあって、どことやっても難しいと思う。それこそどこが勝ってもおかしくないと思うので、僕たちもしっかり次に向けていい試合をしたいなと思います」
改めてW杯の難しさを知った。ただ、まだ終わったわけではない。グループEは4チームすべてに突破のチャンスがあり、日本も3戦目のスペインに勝てば、ラウンド16進出が決まる。
「スペイン戦は勝つしかないし、全てをスペイン戦にぶつけられたらいいと思います」
昨季のヨーロッパリーグで優勝したフランクフルトに所属する鎌田は、準々決勝でスペインの雄、バルセロナを撃破した。苦手意識などないだろう。
勝てば、突破。自力でネクストステージ進出を望むなら、状況はいたってシンプルだ。コスタリカ戦では見られなかった鎌田本来のプレーを期待したい。
取材◎佐藤 景