日本代表は現地17日、カタールW杯前最後の強化試合を戦った。戦前から森保一監督はケガ人の回復具合を見極めとコンセプトの確認をテーマとしていたが、選手のコンディション面で手応えを得た一方でドイツ戦までにチームとして確認すべきことが多くあることも明らかとなった。

上写真=カナダ戦では板倉、田中、浅野ら負傷明けの選手たちが先発した(写真◎Getty Images)

■2022年11月17日 国際親善試合(アルマクトゥーム/UAE)
日本 1-2 カナダ
得点者:(日)相馬勇紀
    (カ)スティーブン・ビトリア、ルーカス・カバリーニ

回復は順調。「フィットした状態でいける」(板倉)

 結果より内容重視の試合であったのは間違いない。結果を度外視していいわけはないが、本大会前最後の試合であり、テストすべきことをしっかりテストすることが必要な試合だった。森保一監督が前日会見で話していたように「ケガ人の回復状況を見極める」ことが、その一つ。先発した11人の中では板倉は復帰して1試合をこなしたのみで、浅野と田中はこのカナダ戦が実戦復帰だった。

 ここではまず、負傷明けの選手たちの状態について振り返ってみたい。9月に右ひざの内側側副靭帯を断裂した浅野拓磨、左ひざのじん帯を部分断裂した板倉滉、そして右ひざを痛めて10月末以来、試合から遠ざかっていた田中碧がカナダ戦に先発した。浅野は45分、板倉と田中はそれぞれ67分間プレーしている。

 前半、4バックの右CBでプレーした板倉は落ち着いたプレーが光った。谷口と共に積極的にプッシュアップしてラインを高く保ち、ハイボールにもしっかり対応。相手CKの場面で失点を防げなかった面はあるものの、プレーした67分間の中で負傷の影響を感じさせる場面はなかった。本人も「このスピード感の中で67分間出られた。ドイツ戦はもっとフィットした状態でいけるかなという感じ」と自信を得た様子だ。

 浅野は1トップで先発し、南野とともに相手のビルドアップの際には守備のスイッチを入れる役割を担った。プレッシャーをかける際に相手CBにボールを横にずらされると追いきれない場面もいくつか見られたものの、概ね守備面での役割を全う。ただ攻撃面ではランニングで相手最終ラインの押し下げるプレーや、裏への飛び出しを見せた一方、ボールを収めてほしい場面でロストするなど、周囲との呼吸が今一つの印象も受けた。収穫は前半45分を走り切って順調な回復を示せたことか。試合後には「コンディション的な部分ではまだまだここから上げていかないといけないという感覚で今日のゲームでも感じましたけど、ケガに関しての心配はまったくなかった」と本人も順調な回復を実感していた。

 そしてボランチで出場した田中だ。レギュラーボランチの遠藤航が脳しんとうの復帰プロトコルを過程にあり、守田英正も左ふくらはぎの違和感のために不在の中、田中は67分間、ピッチで戦った。ボールの争奪戦に果敢に挑み、ビルドアップの場面では2センターバックの横に降りたり、中央で下がってビルドアップを助けたりと攻撃を円滑に進めるために動き回った。相手は異なるものの、この日コンビを組んだ柴崎岳との関係性も9月のエクアドル戦より深まった印象。互いの場所を確認しながらチームを機能させるべくプレーしていた。「フィジカル的にはきつかったんですけど、結構、引かずに行かした部分もあったので、それについていく形で走った。そういう意味できつかったですけど、走れた部分はあったのでコンディション的には良かった。技術的なミスがあったのでそこだけかなと思います」。田中もまた、試合後にケガの影響はないと言い切った。

 試合翌日の状態は執筆時点で分からないものの、この試合に限れば、ケガ人の回復状況は概ね良好と言っていいだろう。「見極めたい」と話していたケガ人の状態や試合から離れている選手について森保監督は試合後、こうコメントしている。

「すごく良いW杯への準備ができた。ゲーム勘やプレーの部分でフィットしている状態を確かめないといけない選手が何人かいたので、その選手が全員、カナダという強い相手に対してプレーできたことは非常に有意義だった。きょう出た選手がそのままドイツ戦へということにはならないが、ケガからの回復や、Jリーグでも出場停止や体調不良があった中で公式戦でどういう状態で臨むのかを確認できた」

 指揮官が戦前に語っていたテーマに関して、ケガ人の見極めという部分ではポジティブな回答を手にした。ただ、それ以外の部分では、課題まだまだあることが分かった。


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