上写真=ゴールが決まり、仲間の祝福を受ける鎌田大地(写真◎Getty Images)
■2022年9月23日 国際親善試合(@デュッセルドルフアレナ)
日本 2-0 アメリカ
得点:(日)鎌田大地、三笘薫
戦い方を整理し、良い準備をしてくれた(森保監督)
森保一監督は、最終予選途中からベースとしてきた4-3-3ではなく、4-2-3-1システムを採用した。メンバーにも手を加えている。1トップには前田大然、左サイドハーフには久保建英。そしてトップ下には最終予選途中で4-3-3を採用して以降、クラブと異なりなかなか本領を発揮できなかった鎌田大地が務めた。
前田を前線に据えたのは、前線からの守備を考えたからだろう。日本は試合開始直後から重心を高く保ち、ボールを奪いにいった。相手CBに対して前田、鎌田がしっかりプレッシャーをかけ、たびたびパスミスを誘う。13分には押し込んだ状況から相手のパスを久保が奪って鎌田につなぎ、シュート。相手GKに触られたが、早速、あわやのシーンをつくり出した。
前からのプレスと攻から守への素早い切り替えで23分にもいい形を生み出す。左からの中山がクロスは相手に阻まれるが、すぐさま守田が回収。そこから2次攻撃を展開し、最後は伊東のカットインから鎌田へスルーパス。シュートに持ち込めなかったが、日本が敵陣でボールを回収し、連続攻撃につなげてみせた。
すると直後の24分、待望のゴールを手にすることになる。相手のパスミスを伊東が敵陣で拾って持ち上がると、フォローに来た守田がバイタルエリアでボールを引き取って左前方の鎌田にパス。オフサイドラインギリギリで受け、落ち着いて右足を振ってGKを破った。一度はオフサイドの判定となったが、VARを経てゴールが認められ、日本が先制。ボール回収からつなぎ、フィニッシュまで、まさしく日本の狙いがピッチで実を結んだゴールだった。
1-0のまま迎えた後半、日本は開始から動いた。前田に代わって町野修斗、前半に腰を強打権田修一に代わってシュミット・ダニエルを投入。さらに酒井宏樹に代わって伊藤洋輝もピッチに送った。伊藤は左CBに入り、それに伴い冨安健洋が所属するアーセナルと同様に右サイドバックに回って4バックを形成した。
今回の活動ではこれまでCBやボランチでプレーしてきた板倉滉がケガのために参加できず、CBの層に少なからず不安もあった。そこで6月の活動では主に左サイドバックでプレーした伊藤をテストしたのはそのためだろう(試合途中からCBでプレーすることもあったが)。酒井のコンディションの問題も考慮したにせよ、さまざまな状況に対応できるように、テストを行ったのは間違いないところだ。
日本は人を替えたことでやや前線のプレッシャーが弱まったものの、ペースを落とさず試合を進めていった。68分に両翼の伊東純也、久保に代えてそれぞれ堂安律、三笘薫を投入。強度を保ち、アグレッシブさを継続する。残り5分を切ったところでは鎌田に代えて原口もピッチに送り、試合を締めくくりにかかった。88分に三笘が左サイドでボールを受け、単独突破で2点目を奪い、ゲームを決定づけたあと、原口は最終ラインの右に入って5バックを形成。本大会に向けて逃げ切り策も実践した。
「選手たちがアメリカ戦に向けて、W杯を見据えて戦い方を整理してくれ、良い準備をしてくれました。(アメリカに2得点だが?)勝ったことは勝負事なので大切ですけど、内容的にも、やろうとすることを意思統一しながら、うまくいなかいことも試合の中でありましたけど、ピッチ内でいろんな修正を加えながら戦えたことはよかったと思います」
森保監督は試合後のフラッシュインタビューで、2-0の勝利よりも、狙いを実践できたことに言及した。後半、メンバーが変わる中で、相手にプレッシャーをかけ切れない時間もあり、80分には吉田のボール奪取から攻めに転じる場面でミスにより相手にシュートを打たれるなど、修正すべき点はもちろんある。ただ、この日はボールの取りどころが選手間で共有されており、距離間が良く、先行、加点、逃げ切りというプランも遂行。日本は最初から最後まで良いリズムで試合を進めた。
次戦、27日のエクアドルとのテストマッチでは、この日のメンバーとはまた異なる顔ぶれで、違う狙いを持って臨むと予想される。W杯本番まで残すテスト機会はそのエクアドル戦と11月17日のカナダ戦のみ。「最善の準備をしたい」とこれまでも森保監督は繰り返してきた。本大会の日本の初戦、ドイツ戦では11月23日。ちょうど2カ月後である。