上写真=藤田譲瑠チマが優勝の記念撮影でカップの上に顔を出す。天真爛漫さも魅力だ(写真◎JFA)
■2022年7月27日 E-1選手権 第3戦(@豊田ス/観衆14,117人)
日本 3-0 韓国
得点:(日)相馬勇紀、佐々木翔、町野修斗
いつもどおりに崩してゴールにつながった
威風堂々。何という冷静さだろうか。20歳のボランチ、藤田譲瑠チマが、日本を優勝に導く49分の先制ゴールへと軽やかなクロスを送った。
「マリノスの選手が関わっていた印象で、右で崩してリュウくん(小池龍太)が持って(岩田)智輝くんが同じラインに入ることで相手の意識が散漫になって、智輝くんも同じイメージでスルーしてくれたし、そこで自分がフリーになって一番いい選択ができたと思います」
右外で小池が中央へ横パスしたボールを岩田がスルーしてそのまま前に走り出して、相手の注意を引きつけた。受けた藤田は余裕を持って逆サイドに目を配り、走り込んだ相馬勇紀の頭にぴたりと合わせる柔らかいクロスで鮮やかにアシストを記録した。
63分に佐々木翔が追加点を挙げると、またもや右サイドで崩しに加わった。
72分、右外にいた小池から内側でボールを預かると、小池はそのまま裏のスペースへ走り出し、中を見た藤田は戻りながら受けようとした西村拓真に斜めのくさびのパスを入れた。西村はフリックして裏に流し込み、走っていた小池の足元へ。これをワンタッチでゴール前に送って、最後は町野修斗が左足のインサイドで押し込んだ。
「3点目は右から崩して、マリノスでも同じタイミングで(西村)拓真くんが落ちてきてくれるし、リュウくんもそのタイミングで3人目の動きで裏を狙っていました。マリノスの練習でも試合でも出せている形で、いつも通りやったらゴールに結びつきました」
あうんの呼吸、とはこういうことを言うのだろう。
「初めてのA代表で、とにかくすべてにがむしゃらに取り組もうと意気込んで」チームに加わり、強烈な存在感を示した。攻撃だけではなく、守備でも相手からボールを絡め取って、攻撃に移る最初のパスでリズムをコントロールした。
「後半は自分のところでテンポを出せたり、得点に結びつくパスだったり、自分で持ち運んでシュートというところでは、入らなかったけれど、ボックス・トゥ・ボックスのプレーを見せることができました。でも、奪い切るところで奪いきれなかったりもしたので、もっと直していきたい」
森保一監督も、ポテンシャルの大きさとその現在地をこう表現した。
「本当によく動いて、よくボールに絡んで素晴らしい選手です。守備に関してもボールに当たっていき、非常にアグレッシブなプレーをしてくれる選手だと思っています。ただ、すべての部分でまだまだ上げてもらって、もっとより良い選手に成長してもらいたい。守備の部分ではアプローチするところは素晴らしいチャレンジをしていますので、そこでボールを奪い切る、相手を止める力をつけること。攻撃の部分では、もらいたいなというところを広域にボールに絡む回数が非常に多くて素晴らしいものがあります。今後は展開力という部分、より効果的にボールを動かせる中継役として成長してほしいと思います」
今回は国内組で構成されたチームだったし、成長の余地もまだまだ残されているが、20歳の初代表で紛れもないコントロールタワーとしてプレーするのだから、末恐ろしい。11月のワールドカップへの距離が、ぐっと縮まったのではないか。
「行けたらいいですけど、そんなに簡単な壁ではないので…。この大会が良かったからといって選ばれることはないと思っていて、でもこの大会をきっかけに自信がついたので、Jリーグで活躍して日常を評価されて選ばれたらうれしいと思います」