上写真=川島永嗣はガーナ戦では最後尾からもり立てることを意識したという(写真◎JMPA早浪章弘)
「結果に結びつくとは限らない」への理解
6月10日、キリンカップのガーナ戦、日本の最後の砦は川島永嗣が守っていた。
1失点したのは悔やまれるが、飛んできたシュートはわずか4本で、枠内は得点になった1本だけ。「メンバーが変わっている中で、どうやって後ろから支えていけるかが一番の仕事だったと思います」とGKばかりが目立つような絶対的なピンチはほかになかった。
11月開幕のカタール・ワールドカップに向けたサバイバルの真っ最中。すでに南アフリカ、ブラジル、ロシアと3大会を経験している重鎮は、慌てず騒がず泰然自若だ。
「そんなに自分の立場は考えていませんし、まずは自分が選手として相応しいかどうかが重要です」
プレーヤーとして正しいクラスにあり続けること。
「ワールドカップでチームを勝たせられる選手でいたいと思います。それには日々の積み重ねがない限りはメンバーに入れないですし、そういう選手になっていかないので、ワールドカップに行く立場になる意味では、まだ時間はありますし、その積み重ねを続けていくだけというスタンスでいます」
準備がうまくいっていても勝てるとは限らないのがワールドカップで、チーム作りに大きな困難を抱えていても勝つこともあるのがワールドカップ。例えばブラジル大会は前者で、南アフリカ、ロシアは後者と言えるだろう。だから、川島の経験が生きてくる。
「積み重ねていく中でも、積み重ねていることが常に結果に結びつくとは限らないのだ、と理解しなければいけない」
言葉には、独特の重みと深み。
「サッカーの勝負の世界でワールドカップとなれば、お互いが最高峰のパフォーマンスを出して結果が出ます。だから、準備したから結果が出るというスタンスでいてはいけないと思います。最後にどれだけ勝負にこだわれるか、積み重ねてきた以上のものを出せるかになってくるんです」
そのすべてを含めて、個人ができることは真摯に成長に向き合うということだ。
「そういうことがチームにプラスになればうれしいですけど、選手として成長することを常に考えて、チームに還元できればうれしいです」
というわけで、川島は昨日の自分を上回るために今日も汗を流す。