6月シリーズの4連戦のうち、2試合を終えた日本代表。山根視来はパラグアイ戦にフル出場、ブラジル戦では81分からピッチに立った。この中で、改めてボールを大事にすることの重要性を感じたと話すが、その理由は「攻撃の準備」で必要だからという。

上写真=山根視来はパラグアイ戦ではフル出場。ブラジル戦では81分からプレーした(写真◎JMPA江本秀幸)

「怖がって受けたがらない選手はいない」

「守備に追われているときこそ、ボールを大事にすることが重要だと思いました」

 山根視来がブラジル戦をベンチから見たあと、81分からピッチに入って痛感したのがこのことだ。

 ボールを大事にすべきなのは攻撃のためだが、その「準備段階」においても大きな意味がある。

「守備をする時間が長かったので、攻撃に使うエネルギーが残っていない状況があったと思います。その中で、相手陣地で押し込めたのは、速い攻撃ではなくてボールを保持する時間があったときでした。後半、伊東選手と長友選手で崩してクロスを上げたシーンがありましたけど、ゆっくり動かす時間を作れれば攻撃に使うエネルギーが戻ってくるんです」

 58分に長友佑都が右のワイドで受けると、伊東純也が後ろでサポート。長友が一度預けてから裏に走り抜けてスルーパスを引き出し、センタリングが相手に当たったところを田中碧が狙ったシーンがあった。

「ほとんど外で見ていたので、中で体感するのとはまた違いますが」と山根は前置きしながら、「トップスピードでも技術が落ちないし、狭いところでもちょっと浮かして入っていく」ところにブラジルのすごみを見た。それでも、日本も「ボールを怖がって受けたがらない選手はいないので、持ったときにパスコースはありますし、だんだん特徴がお互いにわかってきているので、コンビネーションで絡みやすくなっています」と、すべてが悪かったとも感じていない。その一つが、上記の長友のチャンスシーンだった。

「サイド攻撃では1対1に勝ってクロス上げきるか、あるいはそこから中に入るか、ということだと思うんですけど、そこにプラスしてコンビネーションで2人、3人と絡んでいけるか。4-3-3なのでインサイドハーフとサイドバックとウイングの3人でどう絡んでいくかは大切だと思います。自分はそのフォーメーションに慣れている面もあるので、ピッチに入らないとわからないけれど、イメージは持っています」

 川崎フロンターレの4-3-3では、面白いように右サイドから崩していく。そのリズム感、テンポが日本代表にも生まれれば、という思いだ。ただし、それだけでワールドカップに勝てるとも思っていない。

「自分の強みは出せていると思いますけど、そこだけだと世界では難しい。ほかに目を向けることが大切だと思います」

 ワールドカップまではおよそ5カ月。限られた時間の中で、山根が「ほか」の部分も高めて総合力を蓄えて、メンバー入りを狙っていく。


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