上写真=ブラジル戦に先発出場した権田修一(写真◎Getty Images)
まだまだ日本サッカーは発展しなければ
0-1で敗れたブラジル戦は、日本に現実を突きつけた。スコア上は僅差の敗北でも、まだまだ力の差はあった。好セーブを連発し、拮抗したゲーム展開にした立役者のGK権田の見立ては、こうだ。
「ワールドカップをみんながイメージして、とくに初戦はドイツ戦なので、初戦で強豪国と戦うということをイメージしていたことで言うと、勝ち点ゼロだったので、それが全てだと思います」
77分にネイマールにPKを決められ、0-1で敗れた。W杯なら、勝ち点を得ることができなったことになる。
「カタールW杯に出て全試合を0-1で終わって、強豪国に『善戦しました、良い戦いでした』ということで、今後日本サッカーが発展していくのなら良いですが、僕らが目指しているのは強豪国と良い試合をすることではなく、グループステージを突破して、ベスト16を突破することだと考えたら、勝ち点1も取れないで初戦を終えたという状況を、見るべきだと思います」
勝てなかった現実を受け止めるべき、ということだろう。その上で本大会に向けて、どう進んでいくべきか。権田は言う。「サッカーはシンプル。いかに相手のチャンスを作らせずにチャンスを作るか。チャンスを作られたとしてもそれを守って、チャンスが少ない中でもそれを決めるか。その質をどれ上げられるかのスポーツ」。
ブラジル戦を通じて改めて感じたのは「ビルドアップ向上」の必要性。「勝てる確率を増やすために、僕も含めて後ろからのビルドアップの質を上げないといけないし、どうしても(ボールの)失い方が悪くて、ドイツもそうですがカウンターが鋭いチームになると、ピンチになる」。森保一監督もポイントの一つに挙げているが、とくに守備から攻撃に転じた際のつなぎを向上しなければ、トップレベルで戦っていくことはできない。
相手が強豪になればなるほど、当然、プレッシャーもきつくなる。ハメに来た相手のプレスをかいくぐるにはGKも含めたビルドアップが必要になる。ブラジル戦で何度も好守を見せた権田は、課題にしっかり目を向けていた。
そして取材の最後に「絶対に言いたかったこと」として、国立競技場に集った一部のファン・サポーターの姿について言及した。
「見に来ている方は、ブラジル代表を見たかったんだなと感じるところがあって。個人的にはそれが悲しくて。日本人の方でブラジル代表のユニフォームを着て日本のホームのスタジアムで応援するという状況になってしまって、まだまだ日本サッカーというのは発展しなきゃいけないなと感じました。イタリア対ブラジルで、イタリア人でブラジル代表のユニフォームを着て応援する人はいないと思います。日本代表が日本で試合をやるなら、みんなが日本代表が勝つために応援する、そういう文化をこれから築いていかないといけないと思いました」
世界のビッグチームと対戦する際にスタンドが青く染まる未来を築くには、W杯の成績はとりわけ重要だろう。目標達成のために、日本サッカーの発展のために、権田は自らとチームの成長を誓った。