上写真=国立競技場で前日練習を行なった日本代表の吉田麻也(写真◎Getty Images)
プレスをかわし、ボールを保持できるか?
勝敗にこだわるのはもちろんだが、このタイミングでFIFAランキング1位のブラジルと対戦できることは、日本にとって大きな意味を持つ。W杯本大会でベスト8以上を目標に掲げるチームの現在地を知ることになるからだ。
「より正確にスピーディーにやらないといけないし、ここから先はチームとして細かいことにこだわり、個々のパフォーマンスについても注意深くやらなければいけない。タフな相手ですが、自分たちがどれだけできるか。次につなげるために、ワールドカップにつなげるために非常に大事な一戦だと思います」
キャプテンの吉田もその意味について語った。ブラジルに対しては「シンプルにプレーすること」「ミスをなくすこと」がまず大前提だと指摘。2日に行なわれた韓国対ブラジルの映像を見て、「韓国もミスから失点したり、崩されていた」との印象を持っていた。「アグレッシブな攻めの姿勢」と「堅く守る姿勢」のバランスが「大事」であり、その判断を誤れば、たちまちブラジルのペースになってしまう。
また、強豪国に対して日本が「ボールを持つことができるか」についても、吉田はトライしてみたいと語る。とくにポイントになるのは、守備から攻撃に転じた際に、相手のプレッシャーをはがせるかどうか。今回の合宿でもタッチ制限を設けたミニゲームを行なって、プレスを回避するトレーニングを繰り返していたが、「2タッチ、3タッチして相手をかわすことは現実的に厳しい。相手のプレスをかい潜って、1タッチ、2タッチでスペースに持っていって、自分たちの形で勝負しなければいけない」と、切り替えの瞬間のプレーの質を高めることが重要だとした。その上で「どうやってボールを持つ時間を長くするかも大事になるし、これまで前半で決着がついてしまうことが多かったので、どれだけ0-0の時間を長くできるか」と、拮抗した状態をいかに続けられるかもポイントになるとの考えを明かした。
ブラジル戦は開催決定後にチケット争奪戦が起こり、自身も知り合いにチケットの手配を頼まれることがあり、W杯に向けての盛り上がりを感じていたという吉田だが、2日のパラグアイ戦はスタンドに空席も目立った。その光景を目にして「自分の感覚とは違った」と感じたという。今回のブラジル戦は、日本代表への関心や熱を取り戻す一つのきっかけになるのかもしれない。その意味でもピッチでどんな戦いを見せるかが問われる。
吉田自身、過去3度対戦し、いずれも3失点以上の結果を残してきた。「相手の勢いを止め、最初の流れをうまく断ち切って、自分たちの流れに持っていきたい」。吉田にとって、4度目の正直となるか。日本にとって自信を得る戦いとなるかーー。