上写真=激動のシーズンを終えて代表活動に参加する遠藤航(写真◎山口高明)
最低限の結果を得られたシーズンでした
シュツットガルトで過ごした2021-2022シーズンはキャリアの中でも最も苦しんだ1年だったかもしれない。キャプテンを務めながらも、チームはなかなか結果を出せずに残留争いを繰り広げることになったからだ。
ただ、遠藤は最終節のアディショナルタイムに劇的なゴールを決めてチームを残留に導き、クラブの歴史にしっかり名を刻むことになった。代表でもクラブでも「非常にタフなシーズンだった」と振り返ったが、「(クラブでは)最終的に残留できてよかった。最低限の結果を得られたシーズンでした。逆にここからだなと思います」と充実感も同時に口にした。激動のシーズンを終えて、次はW杯まで機会の限られる代表活動に臨む。
6月シリーズで行われる4試合については「W杯の準備という意味ではすごく良い相手がそろっている。日本の今の僕らのサッカーが通用するのか。どういう結果を残せるのか、勝ち点3を取れるかどうかにこだわっていきたい」と、「個人的には」と前置きした上で、そのスタンスを説明した。W杯本大会ではドイツ、スペインという強豪国と対戦するが、遠藤の言う通りこの時点で『現在地』をしっかり把握しておくことは重要だろう。
本大会での戦いを見据えれば、守備の時間が長くなると予想される試合において、自分たちがボールを持つ時間を全くつくれないようだと厳しい。90分間守り続けるのは至難の業であり、勝ち点の獲得は難しいと言わざるを得ない。時に相手のプレスをかわしてボールを逃がし、前進することができるかどうか。今回の試合では、その点にフォーカスしてみたいとの考えを遠藤は示した。
「もちろん相手があるので、相手を意識しないといけないですけど、どちらかというと、そういう強い相手に対して日本のサッカーを出せるか、自分たちの今までやってきたことが通用するのかというところを基本的にはやっていきたい。ブロックをつくってカウンターを狙うこともやりながらですけど、(今回は)あまりやるサッカーを変えたくない。強い相手に何ができるかを意識したい」
むろん、アジアの国を相手にする中で積み上げてきた戦い方を試す一方で、カウンターでゴールに迫ることも本大会では重要になる。その点について遠藤は「守備で前線の選手に負担をかけすぎてしまうとカウンターの質が下がる。その負担をできるだけ後ろ(の選手)だったり、僕みたいな選手が担って、守備の貢献度を上げないといけない。前の選手の二度追い、三度追いが多いディフェンスの仕方になってしまうと、すぐに奪い返されたり、前の選手が前に出ていけないというシーンが多くなる。前の選手の負担を減らせるかが、カウンターをする上では大事。そこらへんの力の使いどころを見極めないといけない」と、前線の負担軽減も、強豪国との対戦のポイントに挙げた。
今シリーズの初戦は2日のパラグアイ戦。そこから中3日でブラジル戦に臨む。とくにブラジル戦はカタールW杯でベスト8以上を目標に掲げる日本にとって重要な相手と言える。
「自分たちでボールを動かしたり、ブロックをひくとか、色んなことができるのができるのが良いチームだと思う。日本代表はそれができると思うし、状況判断が大事なる」
チーム、そして遠藤がどんなプレーをピッチで示すのか。6月シリーズの注目点になる。