上写真=長友佑都はサバイバルへ「ワールドカップへの覚悟は誰よりもある」(写真◎山口高明)
「前へ」の成功体験を伝える
パラグアイ、ブラジル、ガーナ、チリまたはチュニジア。日本が6月に戦う4試合の相手は、すべて難敵だ。
「最終予選とワールドカップでは相手のレベルが違います。この4連戦はすべて強豪で、そういう相手とできることで、自分たちがどういう戦いをワールドカップでしていくのか、いろいろ見えると思います」
長友佑都は自身4度目のワールドカップ出場へ向けて、本大会から準備を逆算する。11月の本大会までに長期に渡ってチーム作りを行えるのは、おそらくこのタイミングが最後。ドイツ、スペイン、大陸間プレーオフ勝者と戦うワールドカップのグループステージを見据えた「いろいろ」の一つが、カウンターアタックである。
「スペインやドイツはボールを支配して、日本は主導権を握られる時間が多くなると思います。守備をしながらも、どこでカウンターのスイッチを入れるか。今回は前に速い選手がたくさんいるので、どう生かしていくのか。ペースの配分や時間の状況を見て狙っていくことは、常に意識したい」
稀代のポストプレーヤー、大迫勇也がコンディション不良で選考外になった今回は、伊東純也、浅野拓磨、古橋亨梧、前田大然とスピードスターが前線に揃った。ハイレベルの相手に対して守ってから前に出るタイミングやパワーを、チームとして上手にセッティングできるか。それが、この4試合の大きなテーマになりそうだ。
厳しい守備から一気に前へ、の戦いは、長友にとっても望むところ。
「裏のスペースが空いてくるので、相手が強くなればなるほど、いい守備からいい攻撃につなげられる意味では自分の強みを発揮しやすいと思います。1対1で負けないとか、基本的なところはしっかりやりながら、カウンターを狙える場面では勢いよく出ていけるようなスイッチは、意識して持ちながら戦いたい」
過去の経験が、その有効性を示している。ロシア・ワールドカップ初戦でコロンビア相手にもぎ取った2-1の勝利は、前へ前への意欲がもたらしたと振り返る。
「前へ行く姿勢が非常に大事になってきますね。強豪相手にはもちろん守らなければいけないので、引きすぎる状況になりがちですけど、あのときはみんなで前に出て勢いを出せたのが良かった」
その成功体験を、ワールドカップ未経験の選手に伝えていくのも、長友の大事な大事な役目の一つである。