上写真=中山雄太は「サウジアラビア戦でよくなくて、でもそこから修正できた」と自身の最終予選を振り返った(写真◎スクリーンショット)
「ピッチでの修正やアクションが求められてくる」
「ワールドカップ出場を決めてうれしいですが、新たな競争は始まっていると思っています。最終予選という名前ではありますけど、新たな競争が始まっている感覚があります。チャンスがあれば結果にこだわってやっていきたい」
中山雄太はワールドカップ最終予選最後のゲーム、3月29日のベトナム戦をそう位置づけている。メンバー入りをかけたバトルの号砲。
中山はこの代表では、左サイドバックとして起用されてきた。9試合中7試合でピッチに立っているが、すべて途中出場。ファーストチョイスは長友佑都だった。おおむね後半20分前後からの出場で、ここからが「中山タイム」。チームのためではある。しかしもちろん、先発から出場する意欲はあるし、常にその準備を怠らなかったことは、この最終予選中に何度も口にしてきた。
ベトナム戦では森保一監督がメンバーの大幅な変更を明言した。中山の先発も期待されている。
「これまでは途中から出ていたので、相手の出方はまずベンチで見ながら分析して、途中から実行する流れでした。今回、スタートからになれば、相手の出方をピッチで感じながらアジャストして表現しなければいけないので、90分を通して戦える準備はやはり途中からの出場のときとは違います。ピッチでの修正やアクションが求められてくると思います」
即時修正力とでも言おうか、目の前の現象を即座に分析して改善していく作業が攻守ともに必要になる。例えば守備では、ここまでチームとして5試合連続、計6試合で完封しているが、それに甘んじない。
「無失点という結果は出ていますけど、失点してもおかしくないシーンは何度もありました。寄せるところで寄せきれたという細部でしっかりできたことが無失点になっています」
ピンチを一つひとつ事前につぶして、相手がゴールに迫ってくることそのものを減らすことができるように、さらなるパーフェクトな守備を求めている。
攻撃では、ベトナムが敷いてくると予想できる5バックの守備ブロックを崩すレッスンになりそうだ。
「僕の立ち位置はサイドバックなので、出てくる選手が中盤の選手なのかウイングバックなのかでどこにスペースが生まれるのか、やってみないとわかりません。ただ、最終ラインが5枚ではスペースがないので、その中でどう作るかが大事になります。押し込んだ形だと後ろにスペースがなくなるので、相手をどう引き出していくか。僕で言えば前の選手にスペースができるような持ち方や運び方を意識しています」
ワールドカップ出場を決めたアウェーのオーストラリア戦で、アディショナルタイムに三笘薫が左からドリブルで持ち込んで3人をかわして決めきった追加点は衝撃的だった。三笘がライン際でフリーになって受けたところが始まりだったが、それは中山がインサイドに走って相手のマークを引き連れたからである。
「薫が入ってからは、薫の特徴を生かす動きは少し自分の中で手応えがありました」
このスマートな動きが、まさに中山雄太的。その「気配り」こそ、起用され続ける信頼の証である。