上写真=難しいオマーンとのアウェーゲームを伊東純也のゴールでモノにした日本。2位に浮上した(写真◎Getty Images)
■2021年11月16日 FIFAワールドカップ・アジア最終予選・B組第6節(@オマーン)
オマーン 0-1 日本
得点:(日)伊東純也
後半開始からの三笘投入で流れをつかむ
日本はオーストラリア戦、ベトナム戦に引き続き4-3-3システムを採用した。メンバー構成は前節から出場停止のMF守田英正に代わって柴崎岳がインサイドハーフに入っただけ。2連勝した良い流れの継続を狙った。
しかし試合開始から日本はテンポが上がらない。ボールを握るものの、相手のブロックの外側をなぞるように動かすケースが多く、効果的な縦パスが入らない。距離感が悪く、ピッチに三角形がつくれないため、ワンタッチパスも繰り出せず。その結果、攻撃が単発になりがちで、決定的な場面を生み出せなかった。守備で危ない場面を迎えることもほとんどなかったが、攻め手に乏しい印象を残す前半になった。
後半、森保監督は動く。柴崎に代えて三笘を投入。左サイドに入った三笘がいきなり仕掛ける。後半開始直後の47分にグイグイとボールを持ち上がり、敵陣深い位置まで運んだ。相手はいきなりギアを入れて加速する三笘を抑えられず、たまらずファウルを犯すしかなかった。FKを得ると、伊東が蹴った鋭いボールは相手GKに弾かれる。ゴールにはならなかったが、その積極的なプレーで、試合の流れが変わった。
直後の49分も三笘の仕掛けからチャンスをつかむ。ボックス左にドリブルで持ち込み、中央へクロス。遠藤のシュートは相手に当たり、そのこぼれ球に大迫が詰めたが、決め切れなかった。
三笘の仕掛けに刺激されるようにチーム全体が攻撃姿勢を強めていった。しかし、それでもゴールが生まれず、62分に南野に代えて古橋、長友に代えて中山を投入。相手よりも先に動く2枚替えで、さらなる攻撃の活性化を図った。
だが、後半スタート時の勢いを継続できず、三笘に対してもオマーン守備陣が対応し始めて、攻めの形をつくれなくなっていく。相手を押し込んでも、足元でボールを受けてからアクションが始めるケースが増え、相手に構える猶予を与える形になった。
残り10分を切り、ドロー決着が頭をよぎり始めた時間帯。勝利が欲しい日本は左サイドで同じ絵を描いてみせる。中山がタイミングよく三笘にパスを出し、三笘がボックス内で相手をかわしてクロスを供給。そこに右サイドから絞っていた伊東が飛び込み、シュート。堅く閉ざされていたオマーン・ゴールをついにこじ開けた。
前半は重たい内容で、持ち味を出せなかった日本だが、後半開始から三笘を投入して流れをつかみ、攻めの姿勢を貫いてゴールをスコア。前節のベトナム戦を勝利で終えた後、次戦に向けて「ブラジルと戦うつもりで臨む」とキャプテンの吉田は言ったが、最終予選の後半戦のスタートとなる重要な試合は、勝ち切ってみせた。
「選手たちが、ピッチに立った選手だけではなく、ベンチ選手、サポートに回った選手も、全員が今回の代表活動で、試合に出られる出られない関係なく、チームためにそれぞれのやるべきことを日々やり続けてくれたことが、ピッチ上の選手たちにエネルギーを与えてくれたと思います。今日も難しい試合でしたけど、最後まで戦い抜くというところを、勝利を目指してやり続けてくれた。後半はサイド攻撃を(前半よりも)より強めていこうと思って三笘を投入しました。これで順位は2位に上がりましたが、われわれが油断したりスキを見せればまた順位は入れ替わる。これまでやってきた通り、目の前の一戦にチーム一丸となって最後まで粘り強くタフに戦い抜くということをやり続けてワールドカップにつなげていきたいと思います」(森保監督)
日本対オマーンよりも1時間早くキックオフされていた2位オーストラリアと中国の試合がドローに終わっていたため、この日の勝利によって日本はグループBの2位に浮上。最終予選初戦で敗れた借りをオマーンにきっちり返し、自力でW杯出場権を獲得できる状況を整えた。