上写真=攻守に躍動し、決勝点もスコアした伊東純也(写真◎JFA)
■2021年11月11日 FIFAワールドカップ・アジア最終予選・B組第5節(@ベトナム)
ベトナム 0-1 日本
得点:(日)伊東純也
選手たちが絵を合わせて出してくれた(森保監督)
9月、10月と続いたアジア最終予選の2連戦で、日本は持ち味を出し切れず初戦を落としていた。チームの集合直後に臨む試合は鬼門と言えたが、今回の初戦ベトナム戦は、これまで以上に時間のない中で戦うことになった。
3班に分かれて選手が現地に入りした今回、ヨーロッパから移動した11人が飛行機トラブルに遭い、24時間以上を機内で過ごす選手もいた。試合2日前の練習には参加できず、チーム全体で練習できたのは前日10日のみ。ぶっつけ本番で臨んだが、心配は杞憂に終わった。
勝利を収めた前節のオーストラリア(豪州)戦に続き、フォーメーションは4-3-3を採用。右サイドバックのみ酒井宏樹から山根に変更した。その前節の比べて改善されたのが、左右の攻めのバランスだ。もちろん対戦相手の違いあるものの、左右両方から攻めることができていた。
ベトナム戦の前半はビルドアップの局面で左インサイドハーフの守田が左に開いたり、左斜め後方に下がって相手がマークに付けない場所に立ち、ボールを引き出した。それと同時に前線では南野が内側に絞り、長友は外のレーンをスムーズに攻め上がった。こうした連動性は豪州戦も見られた形だったが、より機能性が高まった印象だ。
そして右サイドは、よりスムーズになった。一つには山根の位置取りが大きい。前節は右インサイドハーフの田中がビルドアップ時に下がった際に、外に張る右ウイングの伊東と右サイドバックの酒井が同じレーンにいるケースがあり、右サイドでボールがうまく回らない場面もあった。その点、今回は伊東の場所に合わせて立ち位置を変え、田中とも阿吽の呼吸でパスを交換するため、右からも連動した攻撃が展開された。
左右の攻めが迫力を増したことで相手に的を絞らせない日本は、『中から外、そして中』の流れで先制点を生む。相手GKからのロングボールを冨安がヘッドで前方へ送ると、大迫が収めて左側を走る南野へ展開。日本の10番はドリブルでボックス内に進入し、逆サイドへクロス。相手DFを振り切った伊東が飛び込み、ネットを揺らした。
前半終了間際にはカウンターから伊東が単独で持ち込み、ボックス左隅からシュート。鮮やかな追加点と思われたが、シュートコースに田中が走り込んでおり、VARを経て取り消しに。前半のうちにさらにリードを広げたかに思われたが、惜しい場面となった。
後半も日本はボールを握り、左右に展開しながらゴールへの道筋を探っていく。相手は日本の守備陣の背後をロングボール1発で狙ってきたが、集中した守備で決定的な場面をつくらせなかった。
日本は疲れの見え始めた選手を交代させ、攻撃の活性化を図った。柴崎のミドルシュートなど惜しい場面もあったものの、次の1点を手にすることができず。なかなか次の1点を奪えなかった。それでもリスクを管理しつつ、時計の針を進めて試合をクローズ。勝ち点3をものした。
試合前から飛行機トラブルによって選手が予定通りそろわないなど、アクシデントに見舞われたが、勝ち点3を奪うという目標を達成。試合後、森保一監督は「われわれは厳しい状況の中、勝たなければならない試合で、選手たちはプレッシャー下の中でもハードワークしてくれて、このアウェーの難しい戦いで勝利をつかみ取ってくれたのはよかったと思います」と、逆境をはねのけて勝ち点3を手にした選手たちを称えた。
「内容についてもベトナムが非常にテクニック的にも優れていて、粘り強く戦ってくるチームで、そこに対してハードワークすることと、ゴールに向かって積極的にプレーとするというチャンレンジの部分を出してくれたのはよかった。選手たちが絵を合わせてくれて、今日の試合で出してくれたと思います」
この日の勝利で日本は勝ち点を9に伸ばし、2位オーストラリアとの差を1ポイントとした。次戦は16日(日本時間17日)、アウェーでオマーンと対戦する。予選第1節にホームで敗れた相手について森保監督は「とても重要な試合。1回負けた相手に、しっかり勝って、われわれがワールドカップに前進できるようにしたいと思います」とコメント。今日の勝利を無駄にしないためにも、求められるのは引き続き、勝ち点3になる。