フレッシュなアタッカーが嫌な流れを払拭する。カタール・ワールドカップのアジア地区最終予選、10月12日のオーストラリア戦は日本の不沈を左右する重要な一戦になる。古橋亨梧は3試合でわずか1得点のチームにあって、清々しいまでの勝利宣言でチームを引っ張るのだ。

上写真=古橋亨梧は出番が来たら、チームのために攻撃でも守備でも走り続けることを誓った(写真◎JFA)

「やり続ければ相手は嫌がる」

「やっぱり自分たちを信じて、自信を持ってやり続けることが大事です。この状況を楽しんで、持っているものを試合に出すことができれば勝利は近づきますし、いまはすごい選手に囲まれていますから、勝てると思います…いや、勝ちます!」

 古橋亨梧は「勝てる」を「勝つ」に間髪入れずに言い直した。3試合で1勝2敗、得点はわずかに1という苦境にあってはオンライン会見の場もどうしても沈みがちな空気になるが、これほどまでに清々しい勝利宣言は気持ちがいい。

 勝つしかない。そのためにはゴールを決めるしかない。難しい試合だが、突き詰めれば単純だ。古橋は「チームが勝つことが優先なので、勝つためにプレーして、その中でゴールを決めたりアシストできたらうれしい」と意気込む。

 10月7日(現地時間)のサウジアラビア戦では59分からピッチに投入されて、左サイドハーフとしてチャンスに絡んでいった。右サイドで組み立てたときにゴール前にもぐり込む感覚を生かし、ビッグチャンスを迎えたのが88分だった。左から長友佑都、遠藤航、守田英正、酒井宏樹と速いテンポで動かして右に展開すると、原口元気がカットイン、ここで左からゴール前に入り込んだ古橋を、原口は見逃さなかった。

 ゴールに向かうグラウンダーのパスが来た。軽く触って流し込もうとしたところで、右足を伸ばしたものの触れずに、そのままGKにキャッチされてしまった。

「チャンスは作れる自信はあるけれど、そこから先が大事です。決めないとチームを勝たせることができないですから」

 オーストラリアはサイズの大きい選手が揃っている。だが、それで不利になるかと言えばそうではない。機動力を生かせるからだ。この夏に移籍したセルティックでいきなり大活躍中だが、背の高い選手たちが古橋のクイックネスについていけていない。

「僕の特徴は相手の裏、背中を取る動きなので、やり続ければ相手は嫌がると思います。やり続けてラインを下げて、できたスペースでボールをうまく受ける選手がいっぱいいるので、そこの動き出しをやっていければと思います」

 自分が生きるために相手の背中側を脅かし、そのことで相手の最終ラインを刺激して動かして、味方に「おいしいスペース」をつくっていく。

「僕はフォワードなので、勝つためにゴールを決めたいし、アシストしたいです。守備のところでもチームが苦しいときに前線から走れるようにしたいと思います」

 埼玉スタジアムは雨予報。気温が上がることもなさそうだ。酷暑に悩まされたサウジアラビア戦に比べれば、最高の「決戦日和」。スリッピーなコンディションも予想されるからこそ、古橋のすばしっこい「走り」が相手を困らせて、最高の結果をもたらすことに期待したい。


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