上写真=前半でハットトリックを達成したオナイウ阿道(写真◎JMPA毛受亮介)
■2021年6月15日 ワールドカップ2次予選兼アジアカップ予選(@吹田/リモートマッチ)
日本 5-1 キルギス
得点者:(日)オナイウ阿道3、佐々木翔、浅野拓磨
(キ)ミルラン・ムルザエフ
結果は出せないより出せた方がいいけど
オナイウ阿道は今回の代表活動に途中から参加した。大迫勇也が負傷したことで追加招集され、準備期間は短かったものの、11日のセルビア戦で代表デビュー。後半からピッチに立つと、ピッチで躍動した。相手DFを背負ってボールを受け、起点になりつつ自らもボックス内で果敢に進入してゴールを目指した。最大の見せ場は64分。カウンター攻撃に出て、伊東純也の右からのクロスに頭から飛び込み、ネットを揺らした。しかし、判定はオフサイド。代表デビュー戦でのゴールは幻に終わった。
中3日で迎えた、この日のキルギス戦。オナイウは先発メンバーに名を連ね、初めてワールドカップ予選に出場した。チームはすでに最終予選進出を決めていたが、全勝のかかった試合でもあり、1トップに入ったオナイウにはゴールを期待をされた。
果たして大迫に代わって15番を背負ったストライカーは、自らの役割を全うしてみせる。まずは27分だった。山根視来のクロスに飛び込んで放ったヘディングシュートが相手DFの手に当たり、PKを獲得。自らキッカーを務め、右足でゴール左隅に蹴り込んで先制点をマークした。オナイウ阿道にとって記念すべき代表初ゴールだったが、この日はその1点だけに留まらなかった。
4分後、今度はストライカーとしての嗅覚を発揮する。右サイドで川辺駿がドリブル突破をはかり、ゴール前に送ったボールに反応。ファーサイドに走り込んでボールを押し込み、2点目をマークした。さらに、である。その2分後にもオナイウらしいプレーを披露する。今度は左サイドから小川諒也が送ったクロスをゴールに変えた。抜群のポジショニングで相手DFの背後を取ると、頭でボールを捉えてネットを揺らす。代表初先発の試合で、前半のうちにハットトリックを完成させたのだった。
「個人としてゴールだったり、結果や数字という部分は出せたと思いますけど、他の部分で、もう少し攻撃の起点になるような、スイッチ入れたボールに反応できるような回数が増やせたらと良かったと思います」
破格の活躍を見せたものの、試合後の本人は冷静だった。
「結果という部分は、出せないよりは絶対に出せた方がいいし、ゴールを取れることに越したことはないので、3点取れてよかったと思います。でも、他の部分でもっと質を上げないと、相手のレベルが上がってきたときに自分が通用しなくなってしまうと思う。技術だったり、判断だったり、プレースピードはもっと上げないといけないと思います」
今回の代表活動はオナイウにとって大きな刺激になっていた。急きょ追加招集され、準備期間がそれほどない中でもしっかり結果を残したが、まだまだ代表に定着するには、やらなければいけないことがあると自覚する。代表の基準に照らして、判断やプレースピードを磨く必要があり、ボール収める技術も、さらに向上させなくてはならない。重要なのは、これからどう進んでいくか。
「所属チームでやっていることが、結果や内容に出ていると思います。チームでやれていることを出すことができたので、また毎試合得点を取れるようにやっていきたい」。次の代表活動は、9月。カタールW杯のアジア地区最終予選。オナイウは再び代表でプレーするためにも、所属する横浜F・マリノスで研鑽を積むと誓った。