上写真=鎌田大地がすっかり日本の大黒柱に成長。いま最も頼れる男だ(写真◎JMPA早浪章弘)
「いまの代表がやろうとしているサッカーはいい」
1トップで自在にボールを操る大迫勇也、右サイドをスピードで切り裂く伊東純也、左サイドから軽やかにゴール前に潜り込む南野拓実、そしてミッドフィールドの中央に立ってカラフルなパスで攻撃を演出する鎌田大地。いまの日本代表のベストカルテットだろう。
「とにかくサッカーの世界は流れが早いので、いまがいいからどうというのはとりあえずは気にしていないですね」
鎌田はそううそぶくが、いまやチームの大黒柱として誰もが認めるオーラを放っている。
「もちろん、最初に来たときよりは僕のプレーをみんな理解してくれているし、僕にボールが入ったらできるというのを分かってくれていると思うから、ボールもある程度、集まるようになっています。個人的にはやっぱり代表活動を重ねていくにつれてプレーはしやすくなっている印象があります」
だからこそいま、仲間たちに求めているのは「とりあえずボールをくれ」なのだ。
「よく言っているのは、敵が後ろにいてもとりあえず当てていい、無理でも当ててくれ、ということ。この間のタジキスタン戦でも後ろからもっと前にボールを当ててよかったと思うし、常に要求していました。敵がいたりすると、少しリスクがあるから避けがちなプレーをしますけれど、相手はそこに通される方が嫌だったり、もうひとつ奥につけられるのが効果的なシーンがいっぱいあります。常に後ろや近くに敵がいたとしても、とりあえずつけてくれと言っていますね、いまは」
鎌田のプレーを見るとそれがよく分かる。相手の立ち位置の狭間にするりともぐり込み、首を振って情報を収集しながら、手のひらを味方に見せるようにして足元を指し、ボールをくれと要求するアクションが何度も見られるのだ。
現在の日本代表の戦いは「センターバックからボランチにつけて、ボランチから僕たち2列目の選手にと、短い距離でやっている」というイメージを明かす。それが効果的で、「いまの代表がやろうとしているサッカーはいいと思います」と手応えを感じている。
最終ラインから突き刺すようなパスも必要だが、そこは冷静。
「後ろから入れてほしいなというタイミングもたくさんありますけれど、距離感が長いとそれを通すのもなかなか難しいので、一概に良いとは言えないですね。ただ、後ろから入れてくれてもいいなという場面はあるにはありますし、そういうプレーができたらもっと前にスピーディーにゴールに向かってプレーできるシーンもあるのかなと思います」
素早くダイレクトにゴールに迫れるメリットと、距離が離れることでミスの確率が高まるデメリットのせめぎあいだ。そのすり合わせは常に進められている。
「フィジカル面が強いというイメージがすごくあるんですけれど、逆にすぐカッとなってしまう部分とか、人間的な部分で弱いなと思う部分はあります」
それが、6月11日に戦うセルビアの印象だ。今回のシリーズで最も骨のある相手で、日本にとってはロシア・ワールドカップ後に初めて対戦するヨーロッパの国だ。
「うまく日本が狭い距離感で保持していければ相手はきっとすぐムカついて、だんだんイライラして自分たちのプレーができなくなっていくと思います」
日本がいま、大きな強みとしている戦い方を貫けば、はまる。それが日本のコントロールタワーの見立てである。