上写真=3日のU-24代表戦は71分から出場した昌子源。森保監督には「声を出して締めてほしい」と指示を受けたと話した(写真◎Getty Images)
別に誰かの真似をする必要はない
オンライン取材の前日、5日にはU-24日本代表とU-24ガーナ代表が行なわれた。センターバックコンビを組んだのは、OAとして合流した吉田麻也と冨安健洋の2人。A代表でもレギュラーを張る2CBだった。
「単純にミスがやっぱり少なかったし、経験からくる落ち着きもあると思います。もちろんライバルではあるんですけど、先輩方や彼らに学ぶことはたくさんある。U-24と親善試合を札幌ドームで対戦したときにはOAとして麻也くんは出ていなかったですけど、昨日の試合を見ると、(酒井)宏樹くんや(遠藤)航もいましたし、もちろん一人の力ではないにせよ、あそこまでチームに安定感だったり落ち着きをもたらすのは、テレビで見ているだけでも感じるところがあったので。そういう部分は僕自身も見習っていって、代表だけじゃなくても所属チームにでも与えられたらなと思いました」
昌子の指摘通り、最終ライン中央で吉田はチーム全体を掌握するようにプレーしていた。その存在感は圧倒的だった。実際には吉田が出場せず叶わなかったものの、A代表とU-24代表の対戦が決まったとき、昌子は「また麻也くんとサッカーがしたい」と話していた。ロシアW杯でコンビを組んでいた吉田は今も刺激を受ける存在であり、見習うべき選手だ。ただし、安易な比較論については否定した。
「ほとんどのCBに言えることですが、別に誰かの真似をする必要はないと思います。吉田麻也選手が2人いたら(チームとして)強いかといったら、そうなる保証はない。組み合わせがあって、能力を引き出したり引き出されたり、お互いのストロングを出しつつ、ウイークを消し合ったりとか。4バックだったら2CBの組み合わせでどんどん良さが変わってくるものなので。麻也くんとトミ(冨安)とか、今回の代表ならシン(中谷進之介)とか、(谷口)彰悟くんとか、(植田)直通とかと比べることはないです」
それぞれの選手には特徴があって、その組み合わせが重要になる。やるべきことは自らに矢印を向けて研鑽を積み、常に最高のパフォーマンスを発揮できるようにすること。昌子源は昌子源なりのプレーで、これからも代表に貢献していくつもりでいる。
昌子はまた、『国内組と海外組』と二つを単純に分ける考え方についても言及した。
「いまの日本の風潮として、海外組と国内組という言われ方があって、すごく分けられているなと感じます。同じ日本代表としては、良いことでもあり、悪く働くこともあると思います。海外にいるからすべてではないと思いますし、海外だから必ずしも上達するわけではない。日本代表でやっている以上は、国内組の質を高めなければいけないですが、僕はそこまで低くないと思っていますし、イニエスタ選手も含めて有名な選手が日本に来てくれるケースも増えている。そういうところで、自分の意識によって、成長の度合いが変わると思う。もちろん僕が行った、フランスではパリやリヨンと対戦できるというのがありましたけど、そういうチームとやるモチベーションと、Jリーグでやるときとモチベーションが変わってはいけない。そういうのを感じながら試合に取り組んでいます」
思えば、ロシアW杯にも昌子はJクラブに所属する選手として参加し、世界と渡り合った。重要なのは、場所ではなく何をやるか。今回、初めてA代表の活動に参加した坂元達裕は練習の強度やスピード感に驚いたと話していたが、その水準をしっかり認識し、日々の練習や試合に臨めるかどうかが重要ということだろう。
「自分は1年いただけなので偉そうなことは言えませんが」と断りつつ、代表でプレーする意味と意義を理解し、現在の自分の立場からさらなる成長を誓う昌子。吉田と冨安という2人のA代表の常連CBが不在の中で、どんなプレーを見せるのか、注目される。