上写真=守田英正はメンタル面の成長を強く自覚している。それがプレーににじみ出る(写真◎JFA)
「国を背負って戦う局面にめぐりあっていない」
たったの2カ月でここまで成長するとは――。そんな印象を見る人に強烈に与えたのが、3月25日の日韓戦における守田英正のパフォーマンスだった。驚きは代表チームの中にもあったようで、稲垣祥が「代表のスタッフの方とも話したんですけど、この数カ月でこんなに変わるんだねと。彼自身も向こうでやって自信をつかんでいると思いますし、そういった意味でもいい刺激をもらっています」と明かしたほどだ。
その「向こう」とはポルトガル。1月に川崎フロンターレからサンタ・クララに移籍して、2カ月で大変身。本人も前回の会見でその実感を口にしてはいたし、今回も「メンタル面がだいぶ変わった。自分から発信する行動力が芽生えた」と自己分析するが、それ以上に反省を強調するのも守田らしい。
「僕は韓国戦ではもう少し入れられたな、と思っています」
縦パスの話だ。
「トップ下に入った(鎌田)大地はもっとほしかっただろうな、と思っていて、練習でも『もっと出してくれていいよ』と話してくれているんです。僕は出したあとのことを考えて出さなかったりすることがあるんですけど、そこはアイディアを持っている選手だし出してもいい準備をしていると思うので、無理やり、というわけではないですけど、パスの本数を増やしたいですね」
3月30日のワールドカップ2次予選、モンゴル戦で2人が出場したら、守田から鎌田への縦パスの本数が一つのバロメーターになるかもしれない。
もう一つ気にしているのが、相手をつぶしに行く場所のこと。
「僕のところで低い位置でのファウルが多くなったり、イージーミスでボールロストしたことがありました。そこを直すのが大事だと思います」
ペナルティーエリアの周りでファウルが増えてFKを与えれば、失点の危険性は高まる。吉田麻也は「親善試合だったし腰が引ける戦いをするよりはいい」と想定の範囲内だったことを口にしたが、モンゴル戦からその先の最終予選、本大会を見据えればいまのうちに修正できることはしておくに越したことはない。
そのモンゴル戦に出場すれば5キャップ目。しかし、公式戦は初めてとなる。
「出られるかどうかは置いておいて、まだ公式戦に出ていないので、このタイミングでチャンスがあるのは個人的にありがたいと思っています。絶対に勝たなければいけない、とか、絶対に逃してはいけないとか、そういう重圧があって、国を背負って戦う局面にめぐりあっていないので、モンゴル戦はその一歩になるので楽しみだし重要な試合になります」
3月シリーズで最も評価を伸ばした男が挑む「公式戦デビュー」。
「サッカーを変えるというよりは、結果に対するこだわりやいい意味でのプレッシャーを楽しみたいと思います。内容やプレーを変えることは考えていなくて、韓国戦でやったプレーや全体的なイメージの共有をベースにしながら戦いたい」