上写真=遠藤航は仲間たちと理解し合うために「基本的には話すしかない」と積極的にコミュニケーションを図る(写真◎サッカーマガジン)
一人からグループ、グループからチーム
「そこまで韓国だからと意識しているわけではないですね、正直いまは」
遠藤航が日本代表の一員として、日本のピッチで戦う姿を見せるのが、韓国との親善試合とモンゴルとのワールドカップ2次予選。初戦の相手、韓国は日本の永遠のライバルと言われるが、遠藤は特別な意識を向ける前にすべきことがある、と考えている。
「久々に国内で代表活動ができる喜びを感じていますし、感謝しています。今回、少しメンバーが変わった中で、自分たちがどういうサッカーができるかにフォーカスするべきだと思っていますし、僕個人としても海外でやってきた中で成長した姿を見せなければいけないと思っています。だから、対韓国というよりは、自分たちがどう表現できるか、この2試合でそこにフォーカスしていますね」
森保一監督が「ラージグループ」と呼ぶように、今回は初代表選手も含めてさらに代表チームのベースを広くしていくニュアンスもある。このチームの主力として中盤で守備を引き締める役割の遠藤からすれば、守備戦術の構築を急ぎたいところだ。
今回、最初に取り組むべきなのは、一人ひとりが特徴を出していくことだという。
「ベースはしっかり森保さんが提示してくれているので、チームとして頭に入れながら、出たメンバーがそれをどう判断するかというところですね。一人ひとりの判断を尊重しながらも、一人からグループ、グループからチームという合わせ方を徐々に広げていけるかが大事になってくると思います」
「選手一人ひとりの特徴を出すのが代表では一番だと思っていますし、森保さんもそういう言い方をしてくれています。それをしっかり出しつつ、日本代表としてのコンセプトをいかに体現できるかは、かなりバランスが難しいと思います」
「でも今回は特にメンバーが変わった中でやっているので、まずは一人ひとりの特徴を出すことにフォーカスすべきだと思います。その上でチームとしての戦いがどうだったのかは、また後で反省すればいいと思っているんです。新しいメンバーが来ている中で、一人ひとりがチャレンジしていくのが一番大事かなと」
その意味では、遠藤自身も所属のシュツットガルトでも代表でも、その特徴を高めていく道の真っ只中だ。
「いまの自分が出しているもののクオリティーをいかに上げるかだと思っています。守備での球際の部分もそうだし、もっともっと奪えるような選手になるにはどうしたらいいかとか回数を増やすことだと思います。攻撃でもビルドアップに関わる部分でどういう立ち位置を取って受けたらいいか、相手がプレッシャーに来た中でも自分のところで受けて展開できるかとか、いまのプレーの質をただ上げていくだけかなと思っています
その上で、チームでどう戦うのか。11月シリーズのメキシコ戦では、相手の戦い方の変化に幻惑されるようにして組織を崩され、0-2で敗れた。
「理想はもちろん、選手がピッチの中で気づいて判断できることです。監督が指示を出すより素早く対応できますから。そこで実際にやって違和感があれば交代するのか、プレッシャーのかけ方を考えるのか、監督のやり方を変えるのかそのままいくのか提示をもらえれば、チームとしてやることははっきりします」
「まずはできるだけ選手自身が相手の変えたことに対していかに気づけるか、それを僕だったりがディフェンスラインや前の選手とコミュニケーションを取りながらできるのが理想で、その後に監督の交代やチームとしての戦い方の指示が来るのがベストなのかなと思っています」
常に叫ばれる「個の成長」は、技術的にも体力的にも必要だが、合わせて「頭の中」の成長が必要だということを、遠藤はピッチの上で強く感じている。その精度を高めるためにはやはり、シンプルに話すこと。
「(新しい選手とは)基本的には話すしかないと思っています。チームでどう戦っているのかは気になっているし、他の選手に聞いたりしています。その上で代表としてどう戦うか。一緒にプレーする選手の特徴を見て、一番いいやり方を探っていくのがいいと思います」
短い代表期間だからこそ、遠藤はしゃべってしゃべって、日本を強くする。