上写真=セルビアリーグでの大活躍を日本代表でも。浅野拓磨がゴールを狙う(写真◎サッカーマガジン)
「反骨心につながっているのかなと思います」
16。
セルビアのパルチザン・ベオグラードに所属する浅野拓磨が、リーグ戦で今季決めたゴール数だ。
「まだまだ残せますし、自分に満足している感じはありません」
というわけで、絶賛ゴール量産中だ。
好調の理由はいくつもある。例えば、継続と信頼。
「セルビアでプレーしていて一番感じるのは、試合に出続けられていることが大きいということです。これまで日本でもそうですしドイツでも、結果が出なかったときに試合に出続ける環境ではありませんでした。監督やチームメートの信頼を感じながらプレーできて、良くなかった試合の次に修正できる試合があるというのは大きいんです」
そこからルーティンが生まれていることもそう。
「それを繰り返すことで、うまくいかなかった試合の次に引きずらずに1試合1試合で完結して、次へいい準備をすることがルーティーンとしてできています。毎試合、戦う準備ができていることが増えて、また集中して全力でプレーできるからこそ、結果につながってきていると思います」
あとはシンプルに、結果。
「この冬の中断明けでコンディションが上がらない中でやってきましたけど、徐々に上がってきて試合にもフィットしてきています。それが単純に結果に表れているのは僕にとっては大きなことです。これまでも調子がいいと感じていても結果に表れないことがあったので、結果が出ていることはすごくいいと思います」
自信が結果を導き、結果がまた自信を生む。理想的なサイクルの最中にいる。
そして、反骨心。
「周りからはセルビアだから(ゴールを量産できている)と思われていると感じています」
「一発、結果を残してステップアップにつなげるのは、こういう状況だからこそ生まれる気持ちで、反骨心につながっているのかなと思います」
イングランドの名門、アーセナル、ドイツのシュツットガルト、ハノーファーと渡り歩いてきたが、納得のいく結果は残せなかった。パルチザンは名門だが、いわゆる5大リーグではないだけに、「評価の格差」を感じてきた。
だが、数字は嘘をつかない。
16ゴールで手にした準備の価値は、日本代表でも変わることはない。韓国という永遠のライバルが相手であっても、揺るがない。
「相手が韓国だからといって特別な気持ちはありませんが、周りからそう見られますし感じたくなくても感じるものはあります。その中で大事なのは、相手がどうこうではなく、試合に対して自分たちがやれることを全力でやるためにいい準備をすることです」
そして、今回は日本での開催だ。
「日本の地で、(観客制限があり)満足のいく人数ではないけれど、サポーターの皆さんと戦えますし、画面越しで応援してくれる人と同じ国にいて戦えるということは大きな力になります」
私たちは同じ国にいる、という当たり前の大切さをかみ締めて、ピッチに飛び出していく。