日本代表の11月シリーズは日本時間の18日、いよいよ最後のメキシコ戦を迎える。パナマ戦で途中出場してチャンスを作った鎌田大地は、10月からの代表チームでの自らの立ち位置について「何もしてない」と語ったのだが…。

上写真=10月シリーズを経て自分の特徴を分かってもらい、11月につながったと鎌田大地は考える(写真◎JFA)

守備のことはチクチク言われている

 10月シリーズのコートジボワール戦が終わったあと、鎌田大地は「まだ僕も代表5試合目だし周りとの関係が浅いな」とこぼしていた。もっと自分にボールを出してほしい、という強い強い欲求の表れだった。

 あれから1カ月。改めて日本代表の一員として強化活動に加わる中で、「そのことについて特に何もしていない」と淡々としていた。「練習を一緒にできているだけで、ある程度言わなくても分かってくれると思うし」という信頼がその理由だった。

「練習を重ねたことと、コートジボワール戦で90分出て、ある程度、僕の特徴は分かったと思います。そこはパナマ戦でいっそう表現できたと思うのでそれで理解してくれているでしょうし、信頼というか、(ボールを)預けてもいいなと思ってくれたんじゃないかと思っています」

 11月13日のパナマ戦では72分に南野拓実に代わってピッチに登場した。1-0でリードし、追加点を狙う場面。確かに「預けてもいい」シーンを披露した。78分に相手GKが浅野拓磨を倒して退場になったシーンで、一気に浅野を走らせた自陣からの縦パスは鎌田が送ったものだった。90分には左からゴール前の三好康児の足元にボールを滑り込ませるようにつけて1対1のビッグチャンスを演出した。

「チームとしてまず勝てたのが良かったです。僕自身は短い時間ですが、チームとしてやらなければいけないことやった中で、チャンスも作れたので割と良かったと思います」

 パナマ戦をそう振り返るのだが、「トップ下でいままであまりプレーしていなくてコートジボワール戦が初めてでした。パナマ戦ではシャドーでしたけど、最初に入ったときよりみんな僕の特徴を分かってボールが出てくるようになってきたし、いまはやりやすさを感じていますね」と話し、適応の高さをうかがわせている。

 コートジボワール戦は4-2-3-1のトップ下、パナマ戦は3-4-2-1のシャドー。似ているようで細かい役割が変わってはくるが、涼しい顔だ。

「僕としてはあまり違いはないと思いますね。やりづらさも感じない。やりやすいポジションではあります。どちらかといえば周りの選手が代わるほうが僕にとっては違いを感じますね。サイドに速い選手いるのか、あるいはフォワードに速い選手いるのかとか、出る選手によって変えないといけないと思っています」

 その点でパナマ戦では同じく交代で入っていた浅野に出した78分のパスのように、立ち位置で変えるというよりは、選手の特徴を生かすプレーセレクトが大事になってくるという考えだ。

 一方で、いま力を入れているのが守備への関わりだという。フランクフルトでアドルフ・ヒュッター監督にかなり仕込まれているようだ。

「去年に比べて守備の部分を監督から要求されているので、攻撃では何も言われないけれど守備のことはチクチク言われているので、常に意識しながら重きを置いています」

「チクチク言われて」という表現が逆に、ヒュッター監督の熱量を伝えてくれるが、その「チクチク」こそが、日本代表にも守備の好材料として還元されていく。

「日本語でしゃべれるので、選手同士で話しながらできていてスムーズですよ。共通意識を持ってできています。無失点で勝っている試合が続いているので、日本代表はみんなでうまく守れていると思います」

 攻守のそれぞれに手応えを感じつつ、次に挑むのがメキシコだ。

「あんまり見たことないですけど、いいサッカーをするイメージはありますね。ヨーロッパっぽくなくて日本的というか、体が小さくてうまいし、チームとして組織的で、似ているものあるかなという勝手なイメージを持っています。でも強いと思うので、失点をゼロに抑えることによって、前の選手が得点は取れると思うので、チームとして守備をしっかりしてやっていければいい試合できるんじゃないかなと思っています」

 だからこそ、重要な一戦になるだろう。明らかにパナマよりも実力も経験も上で、10月のカメルーンやコートジボワールと同じようにワールドカップで上位進出を現実的に狙っているワールドカップ常連国だ。

「パナマ戦は世界レベルで言えばそこまで判断基準にならないかもしれないですけど、コートジボワールに勝てたし互角にやりあえていたので、みんなヨーロッパでプレーしていることで実力が上がっていると思います。メキシコは強いイメージがあるので、みんなどれだけできるか、ある程度、分かるのかなと思います」

 基準点としてのメキシコ戦。鎌田自身にとってもこのレベルを相手にどこまで自分のプレーを出してチームに貢献できるか、大きなテストケースになるはずだ。


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