上写真=代表を引退した長谷部誠の後継者に。遠藤航は虎視眈々と狙う(写真◎Getty Images)
「守備的な選手が注目されるにはどうすればいいか」
11月13日のパナマ戦で後半から出場し、日本代表にこの男あり、を強烈に印象づけた遠藤航。試合後には「ブンデスリーガでやっている方がプレッシャーが厳しい」と話していて、つまりは余裕があったことを明かしている。
次のメキシコ戦はそうはいかないかもしれない。中米の雄にしてワールドカップの常連。間違いなくパナマより骨のある相手だ。
「パナマ戦に勝てたのは大きいですが、次のメキシコ戦が大事になります。もちろん勝ちを目指していきます。いいチームだとは分かっているので、分析した上でイメージを頭に入れながらいい準備をしたいと思います」
パナマ戦では相手からボールを奪い取る特徴を十分に発揮したが、メキシコは日本人と体格が似ていると言われるものの、過去の対戦では体幹の強さやしなやかさに困らされてきた歴史がある。
「ドイツでデュエル(1対1の攻防)の勝率が1位になって注目されるようになって、『デュエルマスター』と言われたりしていますけど、僕だけではなくて守備的なミッドフィルダーが注目されるようになってくれればうれしいです。サポーターの皆さんの見方も変わればという思いがあります」
その思いを表現したのがマウスピースだ。自身のツイッターでもポストしていたが、パナマ戦では赤のものをつけてプレーした。青もあるとのことで、所属するシュツットガルトの赤と日本代表の青をイメージしたという。歯を守ることはもちろんだが、そこには「注目」というキーワードがある。
「いま、球際に強いというイメージが浸透しつつあるので、見栄えがファイターらしくなるかな、という思いがあります。守備的ミッドフィルダーは注目されづらくて、攻撃の選手が注目されるのはしょうがないし割り切ってプレーしているけれど、目立つタイプじゃない選手、守備的な選手が注目されるにはどうすればいいかな、ということもあります」
いわば、セルフプロデュース。ひいてはそれが、守備への注目を高め、理解を深める助けになればと考えている。
デュエルでは「地上戦」と「空中戦」があるが、注目を集める前者のほかに、後者にも自信がある。
「空中戦はもともと自信があったんです。湘南時代から自分の良さとして出してはいましたけど、ドイツに来てさらに身長の高い選手に勝つためにどうしたらいいかと考えたときに、ジャンプのタイミングはすごく意識していて、ちょっと早く跳んで相手がジャンプしたタイミングで肩に乗って競り勝つとか。あとは、体を当ててくる選手が多いので、あえて先に前に入っておくんだけどそのあとにふくらんで後ろにポジションを取ってから前に出て競るとか、ボールが来る前にできるだける動きをつけることを意識していますね」
そんな小さなコツが積み上がって、1対1のバトルに負けない自信をつけていった。
普段のドイツでの戦いとはまた違う形で、メキシコ戦で試されるはずのデュエル。そこでまた新たなテクニックを習得することができるかもしれない。