長友佑都が1年ぶりに日本代表の一員としてピッチに立った。3-4-2-1システムの左アウトサイドで先発して58分に原口元気に代わるまで奮闘した。自己評価はかなり低い。しかしそれもすべて、ワールドカップで勝つための糧になるのだ。

上写真=1年ぶりの日本代表のピッチで走り回った長友佑都。自分に厳しい目を向けた(写真◎JFA)

幅を持たせる時期でチームが成長する時期だから

 長友佑都にとって1年ぶりの日本代表のピッチは「まだまだ全然」だった。

 10月シリーズではメンバーに選ばれながら、体調が整わずに合流できなかった。そのため、2019年11月のワールドカップ2次予選以来の日本代表となった。パナマ戦では先発出場、58分までプレーしている。

 この試合では3-4-2-1のフォーメーションで臨んだ。長友は左のアウトサイド。4バックの左よりは高い位置に立つことができる。この新システムのテストをどのように感じただろうか。

「まず大きな話でいくと、僕もこの代表で10年以上やらせてもらっていますけど、メンバーやフォーメーションを固定して、うまくいっているときはいいけれど、固定するデメリットはうまくいかないときに修正できないことです」

「いまチャレンジしているのは、ワールドカップで勝つために戦術的な部分や選手の幅を広げること。いろんな選手が経験して、相手が対策してきてうまくいかなくなっても試合の中で修正できることを森保さんも目指していると思います。それを僕たちも理解しています。パナマ戦も前半、うまくいかなくても大丈夫だから、幅を持たせる時期でチームが成長する時期だからと選手たちは理解しているんです」

 過去の苦々しい経験が長友に思考の柔軟性を植え付けた。戦い方もメンバーも流動的に対応することで、新しい強さを獲得できると感じている。

「4バックと3バックで、ポジションによってどんな選手が生きてくるとか強みが出せるというチョイスがしやすくなるんです。選手はみんな試合に出たいですし、僕自身もそうですけど、監督のチョイスを受け入れることができます。いま、いろんな選手にチャレンジさせている状況で、チームとしてみんなで一つの方向を向いていて、出られない人も受け入れて出たときに自分のプレーを見せてやるんだという気持ちがあります。だから、チームとして雰囲気を含めていい状態だと思います」

 競争はある。しかし、日本代表がワールドカップで勝つために、という絶対的なゴールのために意識が一つになっていることを感じ取っているのだ。

 その「チョイス」に自分も入っていかなければならない。1年ぶりの代表戦、しかし反省ばかりなのである。

「僕個人としては全然ですね。まだまだコンディション自体を上げないと。代表は試合に出ることが目標なのではなくて、ワールドカップで勝つことが目標ですから、自分のコンディションもパフォーマンスも客観的に見ることができています。いまのコンディションでは、もっと上げていかないと難しいと正直感じています」

 自己評価は低い。

 パナマ戦の前半、チーム全体がボール回しの段階から何度もノッキングを起こしていた。「ちょっとみんな迷いがありながらというか、意識がつながっていない状態でプレーしていたと感じています」と分析するのは、もちろん慣れないフォーメーション、慣れないメンバーでのコンビネーションで戦ったからでもある。それでもなお、長友は厳しい自己批判を下すのだった。

「そういう状況でもサイドで相手をはがしたり、勝っていければいいんですけど、それができなかったのは自分自身の課題が大きいと感じています」

 チームが苦しいとき、これまで何度も走って救ってきた。だが、この日はコンディションの問題でそれができなかった悔しさがある。だが、その苦渋を味わったことこそが、最大の収穫になるかもしれない。何度も何度も逆境からはい上がってきた超人、長友佑都にとってみれば。


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