上写真=決勝ゴールとなる先制PKを決めた南野を、吉田は笑顔で祝福した(写真◎Getty Images)
■2020年11月13日 国際親善試合(リモートマッチ/@オーストリア:スタディオン・グラーツ・リーベナウ)
日本 1-0 パナマ
得点:(日)南野拓実
「ミスが起こることは想定していた」
この日の日本は3バックで臨み、吉田は右に植田直通、左に板倉滉を従えて中央に入ったが、前半はパナマのプレッシャーをうまくかわせず、ビルドアップが追い込まれて苦しい状況になることが多かった。試合後のオンライン会見では「特に前半はスムーズにいっていない感覚があった」と語っている。
ピッチ上では「相手の守備のオーガナイズ、ポジショニングが良かったので、短いパスもなかなか前につけられなかった。逆サイドもケアされていて、長いボールで打開することも難しかった」と感じていたという。それでも「ボールのリズムを変えたり、ボランチが1枚落ちてきてビルドアップのときだけ4バックになったり、そういう変化を、もう少し加えられたらよかったのかもしれない」と反省点を挙げた。
一方で、そうした事態は予想の範囲内でもあったようだ。「メンバーを多少入れ替えて、違う形でやって、いきなり最初からうまくいくとは思っていない」と振り返った吉田は、「最初から4バックでやっていたら、もっとスムーズだったという意見もあるかもしれないですが、僕らは、それをあえてトライして、自分たちの選択肢を広げている段階。悲観することはないんじゃないか」と言葉を続けた。
苦しい時間帯にクリアを拾われ、連続攻撃を浴びるシーンがあったことについても「ピッチが良くなかったですし、新しい選手、やり方でやっていたので、試合前からミスが起こることは想定していた」と語り、「ミスが起こったとき、どうリカバリーするかまでが今日、僕らが求めていたこと」と説明している。「どこまで理想を追い求めて、どこまで現実的にやるかのバランスは、今日はギリギリのところかな。(ワールドカップ)予選でここまでリスクを冒すかは、また変わってくると思いますが、取り組んでいることをやることに、6-4くらいで重きを置いた気がする」と、親善試合ゆえの戦いの意図を説明した。
後半開始から橋本拳人に代わって遠藤航が入り、パスワークがスムーズになったことは「後半は後ろと前線が、よりリンクした」と表現。遠藤のパフォーマンスを「以前はボールが前に行かないことも多かったですが、非常にレベルアップしている。自分の良さであるボール奪取も見せてくれた」と評価しつつ、「選手それぞれタイプがある。一概に航が良かった、拳人が良くなかった、ではなく、そういう変化をチームが加えて、よりスムーズにゲーム運びをするようになったということ」ともコメントしている。
後半の決勝点による1-0勝利も、前半の苦しい時間帯を失点せずに乗り切ったからこそ。植田や板倉のプレーを「最後のところで体を張れたんじゃないか」と評した吉田は、10月のカメルーン戦とコートジボワール戦も無失点だったことを踏まえ、「おそらく、僕と富安(健洋)で出ている試合で0点が続いていたので、『自分たちも』という気持ちで臨んだと思います」と2人の心境を推察した。
その上で「そういう意識、競争がチームをより良くすると確信している。いろいろな選手が自分のパフォーマンスを出して、結果がそれに伴って良くなっていくのは、チームがレベルアップする上で欠かせないこと」とコメント。キャプテンとして、チーム内競争の活性化を歓迎していた。