上写真=遠藤純が自慢の左足を振り抜く。最初の3ゴールを生み出した(写真◎JFA)
■2022年6月27日 国際親善試合(トゥルク/フィンランド)
フィンランド女子 1-5 日本女子
得点者:(フ)エングマン
(日)オウンゴール、遠藤純、高橋はな、植木理子、長谷川唯
「順序立てて積み上がっている」と池田監督
ヨーロッパ遠征の初戦でセルビア女子に5-0で圧勝した日本女子代表。中2日でセルビアからフィンランドに移動して、次のフィンランド戦を戦うタフなスケジュールだったが、見事に5-1で勝利、今回の遠征を連勝という最高の結果で終えた。
セルビア戦から6人を代えたスターティングメンバーで臨んだ日本は、13分に先制に成功。セルビア戦で出番のなかった遠藤純が、同じく今回初出場となった菅澤優衣香からのパスを受けて左からクロス、一度はクリアされるが、こぼれ球を菅澤が再び左の遠藤へ、縦に突破して中央に送ると、相手がクリアミスしてゴールに転がり込んだ。
しかし、直後にEUROを控えてチーム作りの最終段階にあるフィンランドが日本の高い守備ラインの裏を何度も突いて、鋭いカウンターを仕掛けてきた。18分には相手陣内で奪いに出た三宅史織が入れ替わられると、エングマンにドリブルで運ばれ、対面する高橋はなが出てこないと見るや、ペナルティーエリアの手前からそのままシュートを打たれ、ゴール左に突き刺さった。
池田太監督が「前半に課題のあった距離感を修正して臨むことができた」と振り返った後半は、メンバーを3人入れ替え。暑さの厳しい中で、開始直後の47分の勝ち越し点が大きかった。
相手の縦パスをインターセプトした清水梨紗が、後半から入った長谷川唯に中盤で預けると、そのまま右のオープンスペースへと駆け出す。長谷川は右に展開して宮澤がキープする間に清水がさらに駆け抜けて、右サイド深くでパスを受けるとセンタリング、逆サイドから入ってきた遠藤が右足で押し込んだ。ゴール前にはほかに長谷川、長野、植木も入り込んでいて、鮮やかなコンビネーションで一気に優勢に立った。
58分には3点目が生まれる。右CKを遠藤が左足でニアへ蹴り込むと植木がヘッド、ファーに流れたところを高橋はなが押し込んで代表初ゴールを決めた。セットプレーから奪えたことも大きいが、このCKを獲得する流れも狙い通り。植木がフィンランドのセンターバックにプレスをかけてパスミスを誘い、これを長野が拾って右の宮澤へ、さらに中央の長谷川、右深くの植木と渡ってセンタリング、これがDFに当たって得たものだった。複数選手が連動してボールを奪って、一気に攻めに出る迫力が光った。
直後に3人を入れ替えてゴールを狙うフィンランドの攻撃を浴びながらも、日本は74分に植木が左の角度のないところから胸トラップからの右足ボレーシュートを見事に突き刺した。これで代表5試合連続ゴールだ。89分に長谷川が自ら倒されて得たPKを冷静に右に決めて、終わってみればセルビア戦に続く5ゴール。
最初の3ゴールに絡んだのが遠藤だ。「(自身の)ゴールは(清水)梨紗さんからのボールだったが、正直自分自身は準備ができていなかった。ただボールがマイナスに落ちてきたときに行けると思った。いいタイミングで走ったときにちょうど梨紗さんからボールが来たので、あとは決めきるだけだったので良かった。来い、と思っていた」と貴重な追加点を振り返った。「サイドでボールを受けたときに、前半はオープンで持って一番にクロスをと思っていたが、後半は自分が中に入ってドリブルをすることが増えた。そこは自分でスイッチを一つ変えたところだった」と、後半の攻勢のきっかけの一つになった。
池田監督はおよそ1年後のワールドカップへ向けた貴重な強化となった、今回の遠征を総括。
「チームづくりはステップバイステップで、距離感や攻撃のイメージ、形のイメージは課題が出ては積み上げている、というところ。ただ伝えようとしていることは浸透してきているし、伝えていることは積み上がってきていると感じている。順序立てて積み上がっているなと感じている」
「前からボールを奪いに行っている中で全部がはまるわけではないので、相手に少し動かされたときの守備ブロックの作り方などは課題があるが、そのリスクを冒してもいまは旨味を取っているという考え方。いまはその成果にフォーカスしている」
課題と収穫を得て、勝って修正できる最高の遠征になった。このあと7月には韓国、チャイニーズタイペイ、中国と戦うE-1選手権、10月のナイジェリア、ニュージーランドとのテストマッチへと向かうことになる。