12月2日の明治安田生命J3リーグ第38節(最終節)で、ガイナーレ鳥取と鹿児島ユナイテッドFCが対戦した。後半に鳥取がPKで先制したものの、鹿児島はFW山本駿亮が交代出場直後に同点ゴールを決め、1-1の引き分け。カターレ富山に勝ち点で並ばれたが得失点差で上回り、2019年以来となる悲願のJ2復帰を果たした。

上写真=76分に同点ゴールを決めた山本は、雄叫びを上げながらゴール裏の看板を飛び越えてファン・サポーターの元へ!(写真◎石倉利英)

■2023年12月2日 J3リーグ第38節(@Axis:観衆2,844人)
鳥取 1-1 鹿児島
 得点:(鳥)普光院誠
    (鹿)山本駿亮

「鹿児島ユナイテッドファミリーすべての力」

 試合開始前は雨が断続的に降り続いていた鳥取地方だが、キックオフの前にやみ、空には明るさも。勝てば2位で昇格となる鹿児島は歓喜の瞬間を見届けようと、約800人のファン・サポーターが駆けつけてスタンドを埋めた。

 立ち上がりの2分、鹿児島は右からのセンタリングをFW藤本が蹴り込んでネットを揺らしたが、オフサイドの判定で得点とはならず。その後は鳥取が押し込む時間帯となったが、11分にDF鈴木の右からのセンタリングにMF東條が飛び込んだ決定機は、鹿児島DF渡邉が手前でクリアして難を逃れた。

 鹿児島も36分に右からのセンタリングをMF山口がフリーで狙うも、鳥取GK糸原の正面を突く。お互いに相手ゴールには迫るものの仕留めることはできず、スコアレスで前半を終えた。

 後半は立ち上がりから鹿児島がゴール前でのチャンスを作り、昇格に近づく先制点を奪いにかかるが、先制したのは鳥取だった。MF常安のエリア内左サイドからのシュートが右サイドにこぼれ、MF普光院が持ち出そうとしたところで鹿児島MF中原に倒されてPKを獲得。これを普光院が右から左上スミに決めて均衡を破った。

 何とか追い付きたい鹿児島は73分、ゴール前でFKを獲得。ファーサイドへのボールをFW鈴木がヘッドで狙ったが、GK糸原のファインセーブに阻まれる。しかし、ここで救世主となったのがFW山本。75分から交代出場すると直後の76分、中央でパスを受けると、鈴木とのワンツーから右足でニアサイドを抜くシュートを決めて同点とした。

 その後はお互いにチャンスがありながらもスコアは動かず、1-1の引き分け。2位の富山は2-1で勝利しており勝ち点62で並んだものの、得失点差で上回って2位を確保した。

 鹿児島は今季、シーズン中盤までは昇格圏内の2位につけていたが、その後の6試合で1分け5敗と失速して、就任2年目の大嶽直人監督が退任し、登尾顕徳ゼネラルマネジャーも辞任。大島康明ヘッドコーチが監督となり、激しいJ2昇格争いを繰り広げてきた。

 第35節から連敗するなどシーズン終盤の足踏みもありながら、最後は得失点差のアドバンテージを生かして逃げ切り。2019年以来のJ2復帰に導いた大島監督は「選手にロッカーで話したのですが、苦しいことの方が多かったと思います。ただ、昇格を勝ち取って少し落ち着けば、あの苦しかった経験が、次は楽しいに変わっていく。苦しさを乗り越えたからこそ、自分たちがこの混戦の中で勝ち取ることができた。鹿児島ユナイテッドファミリーすべての力なのかなと思っています」と喜びを語った。

取材・写真◎石倉利英

▼出場メンバー
・鳥取:GK糸原紘史郎、DF鈴木順也、増谷幸祐、飯泉涼矢、文仁柱、MF世瀬啓人、普光院誠、田村亮介(77分:小澤秀充)、常安澪(77分:吉井佑将)、東條敦輝(86分:知久航介)、FW重松健太郎(66分:大久保優)

・鹿児島:GK泉森涼太、DF渡邉英祐、戸根一誓、岡本將成、野嶽寛也、MF山口卓己、中原秀人(75分:木村祐志)、端戸仁(75分:山本駿亮)、FW五領淳樹(66分:武星弥)、藤本憲明(66分:鈴木翔大)、米澤令衣(90+3分:広瀬健太)


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