ヴァンラーレ八戸からの完全移籍で、6年ぶりにガイナーレ鳥取に復帰したFW谷尾昂也。地元出身選手としても期待されながら、結果を残せなかった前回の悔しさを胸に、J2昇格への強い思いを抱く。

上写真=合流4日目の10月8日、雨の中で練習を消化した谷尾(写真◎石倉利英)

「自分を必要としてくれた」

 10月8日の練習を終えたFW谷尾昂也は「楽しく練習できています」と笑顔を浮かべた。新天地とはいえ、以前プレーした経験がある、しかも地元のクラブとあって、順応に問題はないようだ。

 鳥取県出身で、米子北高ではガンバ大阪DF昌子源と同期。2011年に川崎フロンターレに加入したが公式戦出場はならず、13年途中にガイナーレ鳥取に期限付き移籍した。

 当時J2残留争いを強いられていた鳥取で切り札として期待されたものの、2試合出場・無得点と結果を残せなかった。J3に降格した14年は完全移籍で残留したが、ここでもリーグ戦11試合出場・無得点。事実上の戦力外となり、14年7月に関東リーグのVONDS市原に期限付き移籍した。

 その後は15年に松江シティFC、16年にサウルコス福井でプレーし、17年にヴァンラーレ八戸へ。当時JFLのクラブでJ3昇格に貢献し、19年からのJ3でも結果を出していた。鳥取戦に強く、19年は第5節、今季も第9節で、八戸のホームゲームでゴールを決めている。

 その鳥取から完全移籍での獲得オファーが届き、「一度ここでプレーしてダメだったし、八戸には昇格させてもらい、またJリーグの舞台に連れてきてもらった恩がある。迷いました」と振り返る。八戸のスタッフにも残ってほしいと言われたが、「鳥取は地元ですし、 もう一度、声を掛けてくれて、自分の力を必要としてくれたので、決断しました」。八戸側も最後は本人の意思を尊重し、快く送り出してくれたという。

 鳥取は第20節終了時点で7位、J2昇格争いに生き残れるかの正念場を迎えている。求められるのが結果であることは本人も十分に自覚しており、「前線で基点になるプレーをしてほしいと言われています。それをうまく出しつつ、ゴールを決めたい」と力強く語る。

 以前プレーしたときは20歳代前半で、「まだ若かったですが、いろいろなチームで、いろいろな経験をさせてもらった」というキャリアを経て、28歳で地元に帰ってきた。10月11日の次節、カマタマーレ讃岐戦から出場が可能になる。「経験したことを見せて、貢献しなければいけない」と語るストライカーが、J2昇格に導く働きを見せることができるか注目される。

取材・写真◎石倉利英


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